長野県議会 > 2017-02-24 >
平成29年 2月定例会本会議-02月24日-04号

  • "県民経済計算"(/)
ツイート シェア
  1. 長野県議会 2017-02-24
    平成29年 2月定例会本会議-02月24日-04号


    取得元: 長野県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-16
    平成29年 2月定例会本会議-02月24日-04号平成29年 2月定例会本会議 平成29年2月24日(金曜日)  出席議員(58名)   1 番 花岡賢一      27 番 毛利栄子   2 番 今井愛郎      28 番 和田明子   3 番 寺沢功希      29 番 備前光正   4 番 山口典久      30 番 小池久長   5 番 百瀬智之      31 番 太田昌孝   6 番 小山仁志      32 番 諏訪光昭   7 番 小川修一      33 番 髙橋岑俊   8 番 丸山大輔      34 番 今井 敦   9 番 酒井 茂      35 番 丸山栄一   10 番 吉川彰一      36 番 竹内久幸   11 番 堀場秀孝      37 番 小林伸陽   12 番 依田明善      38 番 高村京子   13 番 石和 大      39 番 今井正子   14 番 埋橋茂人      40 番 村上 淳   15 番 両角友成      41 番 小池 清   16 番 藤岡義英      42 番 宮本衡司   17 番 髙島陽子      43 番 清沢英男
      18 番 浜 章吉      44 番 垣内基良   19 番 中川宏昌      45 番 鈴木 清   20 番 清水純子      46 番 西沢正隆   21 番 堀内孝人      47 番 風間辰一   22 番 小島康晴      48 番 佐々木祥二   23 番 小林東一郎     49 番 向山公人   24 番 下沢順一郎     50 番 高橋 宏   25 番 山岸喜昭      51 番 宮澤敏文   26 番 荒井武志      52 番 平野成基   53 番 本郷一彦      56 番 服部宏昭   54 番 村石正郎      57 番 望月雄内   55 番 萩原 清      58 番 古田芙士         ───────────────────  説明のため出席した者   知事        阿部守一    林務部長      池田秀幸   副知事       太田 寛    建設部長      奥村康博   副知事       中島恵理    建設部リニア整   危機管理監兼危           備推進局長     水間武樹   機管理部長     野池明登    会計管理者兼会   企画振興部長    小岩正貴    計局長       清水 深   総務部長      小林 透    公営企業管理者   県立大学設立担           企業局長事務取扱  小林利弘   当部長       髙田幸生    財政課長      岡地俊季   県民文化部長    青木 弘    教育長       原山隆一   健康福祉部長    山本英紀    教育次長      小林資典   環境部長      関昇一郎    教育次長      菅沼 尚   産業政策監兼産           警察本部長     尾﨑 徹   業労働部長     石原秀樹    警務部長      西口 学   観光部長      吉澤 猛    監査委員      田口敏子   農政部長      北原富裕         ───────────────────  職務のため出席した事務局職員   事務局長      大日方正明   議事課担当係長   倉石博之   議事課長      鈴木英昭    総務課担当係長   小澤利彦   企画幹兼議事課           議事課主任     山崎紀子   課長補佐      坪井俊文         ───────────────────  平成29年2月24日(金曜日)議事日程    午前10時開議    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑      ─────────────────────────  本日の会議に付した事件等    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑         午前10時開議 ○議長(向山公人 君)これより本日の会議を開きます。  本日の会議は、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑であります。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △行政事務一般に関する質問及び知事提出議案 ○議長(向山公人 君)次に、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案を議題といたします。  お手元に配付いたしましたとおりの議員から行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑の通告がありましたので、報告いたします。朗読は省略いたします。  順次発言を許します。  最初に、中川宏昌議員。       〔19番中川宏昌君登壇〕 ◆19番(中川宏昌 君)おはようございます。初めに、若年者の自殺対策についてお伺いしてまいります。  知事の議案説明でもあったように、平成27年の県内の自殺者数は378人と減少傾向ではあるものの、1日1人の方がみずからの命を絶っており、憂慮すべき問題であります。  本県が他県と比較し大きく違う点は、若年層の自殺者の割合が多く、未来ある若者の自殺を減少させていくことが本県の自殺対策の大きなテーマと言えます。  この状況を鑑み、公明党県本部青年局として、若年者の自殺に関する実態を把握し、寄与したいとの観点から、昨年11月から12月に県内の10代後半から40代の男女2,038名の方から対面方式によるアンケートを実施いたしました。  本気で自殺したいと考えたことがあるかとの問いについては、4人に1人が考えたことがあり、その7割の方が、10代後半、20代に考えていると答えており、若い世代順に自殺リスクが高い傾向でありました。また、その自殺を考えた原因で、4人に1人が学校問題と答えております。  自殺を減らすために協力したいかとの問いには、9割の方が協力したいとしている一方で、9割の方がゲートキーパーを知らないとの回答であったほか、ゲートキーパー研修に参加したい人は6割にとどまっており、自殺減少に協力したい人の行動につながり切れていないとともに、認知不足や啓蒙不足を感じる結果でありました。  教育現場での対策が必要かとの問いには、94%の人が必要と回答。全国の若年者における自殺原因1位は、警視庁の統計によると健康問題でありますが、県内を考えると、教育現場におけるさらなる対策が必要であると考えます。  28年2月議会の一般質問において、学校の自殺予防の取り組みについて私は質問し、教育長からは、子供の心の危機の小さなサインを見逃さないことが重要であると認識し、一人で悩みを抱えず、周囲にSOSを出せるコミュニケーション能力の育成に努めるほか、教員が子供の悩みに気づき、早期に適切に対応できるよう、家庭や関係機関と連携してまいりたいと答弁をされております。  しかしながら、これまでの教育現場での取り組みは、学校巡回や、子供と保護者へそれぞれ自殺予防のリーフレットを配布し対策を講じてきたと思いますが、これらの取り組みは、現在の学校や教員に全てお任せしてしまっている感があり、学校現場での負担を大きくしている可能性もあるとともに、実効性として、自殺予防の取り組みとしては弱いと言わざるを得ません。  以下、2点お伺いいたします。  自殺を考えるリスク要因を考えると、教育現場においてさらなる対策が必要と考えます。さまざまな問題を抱えたときに、相談機関や支援機関があり、それらにみずからの力で支援を求めていくことを醸成する「SOSの出し方教育」を提案いたします。  来年度作成する県の自殺対策計画は全国のモデルとして発信するようでありますが、絵に描いた餅ではなく、より具体的な実践を盛り込むことが大事であり、計画策定に御協力をいただいている日本財団やライフリンクと連携し、学校任せではなく、行政、学校、各種機関が協同して取り組めるプログラムを開発し、実効性ある全国モデルとして発信するべきではないでしょうか。  次に、先ほども触れたように、自殺実態や対策の認知度が低いことが浮き彫りになっていることから、自殺実態や対策の各種機関を伝えていくPR、啓発活動がさらに必要であると考えます。  新年度予算案では、メール広告媒体を利用した若年層に対する予防啓発事業を拡充するようでありますが、昨今、若年者へは動画配信やSNS等を一定の配慮をしながら複合的に絡めて初めてメッセージが届くものと考えます。若年層に特化したさらなる啓発活動が必要と考えますが、知事の所見をお伺いいたします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)若年者の自殺対策について御質問を頂戴いたしました。  まず、過日、公明党長野県本部の青年局の皆様方から、若者の自殺対策に関する御提言を直接お受けし、非常に具体的なアンケート調査結果もお知らせいただきましたことを、この場をおかりして改めて御礼申し上げたいと思います。  長野県としても、この自殺対策を御質問の中にも引用いただきましたように、日本財団とも連携して、全国のモデルとなるような取り組みをしっかり進めていきたいというふうに思っています。  特に、御指摘をいただいている若者層、子供については、やはり周囲の大人、周りの人たちがそうした兆候にしっかり気づいていくということが片方で重要だと思います。もう一方で、今お話ありましたようなSOSの出し方、こうした部分の両面から対応を考えていくことが重要だというふうに思っています。  特に、具体的に2点、このSOSの出し方教育の話とSNS等を活用したさらなる啓発という具体的な御提案をいただいているわけでありますけれども、まず、この啓発活動のほうにつきましては、今回の予算案の中にもメールを活用した啓発というのを入れています。私も、御指摘がありましたように、これだけではまだまだ弱いかなというふうに思っておりますので、今後、フェイスブックとかツイッター、あるいは動画を生かした普及啓発のあり方をしっかり検討し、そしてぜひ具体化をしていきたいと思っています。  この間御要請いただいたときもお話し申し上げましたけれども、少し若い視点、若者の視点でやらないと、私の年代の視点でやるとなかなか難しいところがあるので、そこはしっかり取り組んでいきたいと思います。  それからもう1点、SOSの出し方教育について、これは大変重要なことだと私も思います。これは、教育現場との兼ね合いのあり方等も含めてしっかり検討すべきものというふうに思いますので、来年度、次期自殺対策計画を検討してまいりますので、教育委員会とも問題意識を共有して検討する中で、ぜひ具体的ないい方向性を出していきたいというふうに考えております。  以上でございます。       〔19番中川宏昌君登壇〕 ◆19番(中川宏昌 君)今、知事からは前向きな答弁をいただいたと受けとめさせていただきました。  2月19日でありますけれども、長野市内で今回のこの県の自殺対策計画に御協力いただいているライフリンクの清水代表の御講演があったそうであります。そこで、清水代表は、自殺対策とは、生きる促進要因を引き上げて生きる阻害要因を取り除くことであると、このように御講演をされたと伺っておりますけれども、まさにこの阻害要因を取り除ける教育、そして啓発活動、これが非常に大事ではないかと思いますので、これを一層進めていただきますよう御要望を申し上げたいと思っております。  続きまして、聴覚障害者のうち重度難聴者人工内耳装用者への支援についてお伺いいたします。  新生児を例にした場合、出生児の0.1%が難聴児として生まれ、うち4人に1人が重度難聴児と言われております。その重度難聴児のうち、補聴器による装用効果のない方については、これまで、音声を獲得することができずに、その中の聾者の方は、手話を言語、コミュニケーションの手段としてきております。  昨年3月、本県においては、手話言語条例を制定、手話及び聾者に対する理解促進と手話の一層の普及を通じ、聾者が日常生活を営む上で障壁となるものの除去について必要かつ合理的な配慮を行うこととされ、新年度予算案においても、条例関連事業として、手話でプロスポーツ観戦や山に親しめる事業などが拡充される予定であり、一層の推進をお願い申し上げるところでございます。  一方で、昭和60年から国内では人工内耳の手術が始まり、人工内耳はその有効性に個人差がありますが、装用により音声を獲得することも可能となってきております。手術にかかる総費用は約400万円とも言われておりますが、平成6年からは保険適用となっております。  人工内耳とは、聴覚障害者の内耳の蝸牛に電極を接触させ聴覚を補助する器具であり、補聴器の装用効果が不十分である方に対する唯一の聴覚獲得法であります。県内では、先天性重度難聴や途中失聴など約200名ほどの方が人工内耳を装用していると伺っております。  先般、普通学校に通う人工内耳を装用した児童からは、人工内耳により普通に生活できるし、友達とも遊ぶことができますとの元気な声を伺いました。聴覚障害者への支援として人工内耳も重要なツールの一つであると強く感じた次第であります。  先ほども触れたように、手術の際は保険適用となっているものの、外に装着する体外機、スピーチプロセッサーにおいては、劣化や機能改良による買いかえや修理は全額自己負担であります。片方のスピーチプロセッサーで約70万円から100万円、このほか年間の維持費で約10万円程度かかると言われております。経済的な負担が相当大きいことから、装用者の皆様からは、県に対して、昨年、一昨年と2回にわたり公的な支援を求める要望が届けられております。  この間、私自身も信州大学医学部耳鼻咽喉科教室の先生方と自治体の助成制度の勉強会を重ねるとともに、制度の充実している熊本県で調査をさせていただきました。手術は保険適用にもかかわらず、買いかえ、修理の際は何の支援の適用にもならない。このはざまを埋めていく支援が必要であると訴えさせていただきたいと思います。  現在、聴覚障害者のうち、高度難聴者は補装具により、また、軽度、中度難聴者は、議会の提案により、現在、県、市町村が協同した支援が行われてきておりますが、同様に、人工内耳装用者へも支援を講じていく必要があると考えます。  これまで、県としては、要望を幾たびかお受けし、検討する機会があったことから、人工内耳装用者への支援について県の考えをお聞きするとともに、支援に向けてどのように県が取り組むのか、健康福祉部長にお伺いいたします。       〔健康福祉部長山本英紀君登壇〕 ◎健康福祉部長(山本英紀 君)現在、人工内耳の装用に係る支援は、市町村が選択できる国の補助制度を活用し、県内では須坂市のみが支援を実施しております。  しかしながら、特に成長期にある子供は、体外機の故障や大きさのふぐあい等で買いかえが必要となり、家庭の経済的負担が大きくなっていることから、市町村ごとではなく、全県での支援が必要であると認識しております。  これまで、県では、人工内耳を身体機能を補完する補装具として位置づけ、同じ基準で支給されるよう国に要請してきたところです。また、早期に支援が行われるためには、市町村が率先して支援に取り組んでいただく必要があることから、人工内耳装用者の現状や支援の必要性について市町村への周知に努めてきたほか、昨年11月の県と市町村との協議の場において、直接知事から出席市町村長に対応をお願いしたところであります。  来年度からは、松本圏域の8市町村や大町市で支援を予定しているほか、木曽圏域6町村でも検討が進められるなど、支援に向けた動きが広がっておりますので、引き続き担当者会議等において情報提供を行い、全県での支援につなげてまいりたいと考えております。       〔19番中川宏昌君登壇〕 ◆19番(中川宏昌 君)今、御答弁をいただいたわけでありますけれども、これは市町村の実施する事業でありますが、今はこの手段しかない中で、県としてリーダーシップをとっていただいて各市町村に呼びかけていただいた、これまでなかった動きに心から感謝を申し上げたいというふうに思っております。  その上で、装用者の皆様は県内各地にいるわけですので、どうかまた県から発信をしていただいて、皆様が装用の補助を受けられる、そんな長野県にしていただきたいと心からお願いを申し上げまして、一切の質問を終わります。 ○議長(向山公人 君)次に、浜章吉議員。       〔18番浜章吉君登壇〕
    ◆18番(浜章吉 君)迎えます平成29年度、しあわせ信州創造プランの総仕上げ、また、次期総合5カ年計画の策定年であるということで、これに関連をいたしまして、最初に、平成26年度県民経済計算で25.2%、名目で県内総生産の約4分の1を占めるものづくり産業の振興策について2点お伺いをいたします。  県は、ものづくり産業振興戦略プランを平成24年3月に策定し、「未来を拓く次世代産業の創出」を目指して、有望な産業分野や市場への展開を重点的に取り組んでいることは承知をいたしております。  最近では、アジアナンバーワン航空宇宙産業クラスター形成特区諏訪地域等への拡大が国から指定を受けるなど、次世代産業の創出も期待されているところでございます。  ものづくり産業振興戦略プランは、本来、28年度末、つまりこの3月まででありますが、この間の計画でありましたが、1年間延長して取り組み、次期プランを、総合5カ年計画に合わせ、30年度スタートするとのことであります。  そこで、5年の節目となった現在、ものづくり産業振興戦略プランの主な成果と課題について産業労働部長にお伺いをいたします。       〔産業政策監兼産業労働部長石原秀樹君登壇〕 ◎産業政策監兼産業労働部長(石原秀樹 君)ものづくり産業振興戦略プランの成果と課題についての御質問でございます。  現在のプランは平成24年度にスタートし、「未来を拓く次世代産業の創出」に向け、成長が期待される3分野、健康・医療、環境・エネルギー次世代交通を中心に、産学官金の連携により取り組んでまいりました。  プランで設定いたしました三つの目標値のうち、製造業の付加価値額2.5兆円につきましては、リーマンショック等の影響から達成は難しいものの、有効求人倍率1.0倍以上、工場立地件数200件は達成できる見込みとなっております。  具体的な成果の事例といたしましては、国際的な産学官連携プロジェクトの支援件数が13件、信州ものづくり産業応援助成金を呼び水としました県内設備投資予定額が約800億円、技術提案型商談会による商談件数が4,200件となっております。  また、課題といたしましては、成長期待分野の産業集積を今後も進めるためには、さらなる深掘りと具体的な取り組みや地域ごとの強みや特色を生かした産業振興という視点もこれまで以上に重要になると考えております。そして、プランの推進に当たりましては、何よりも産業の主役である県内企業の主体的かつ積極的な参加がポイントと考えております。これらの課題点には、次のプランの策定の中で丁寧に検討し、効果的かつ具体的なプランにしてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔18番浜章吉君登壇〕 ◆18番(浜章吉 君)具体的な成果ということでもお伺いしたわけでありますし、これからの策定に向けても非常に重要な視点を御答弁いただいたわけであります。  今後、ものづくり産業が発展して県内経済を引き続き支えていくために、経済的価値や社会的価値を新たに生み出すイノベーションの創出ということが最も重要であるというふうに私は考えておる次第でございます。  地域の中小企業における成長分野への展開についてお伺いをいたします。  本戦略プランでは、健康・医療、環境・エネルギー次世代交通を目指す分野と位置づけており、諏訪地域でも、中核的企業を中心に、精密加工技術を生かして、医療、ヘルスケア分野等の成長分野に積極的に展開をいたしております。  一方で、地域の中小企業がこれらの成長分野に取り組むためには、技術面や販路などで厳しい現実があります。そこで、次期プランの方向性はどうなっているのでしょうか。成長期待分野にかかわる中小企業をどのようにふやしていくのでしょうか。阿部知事にお伺いをいたします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)次期ものづくり産業振興戦略プランの方向性と、成長期待分野にかかわる中小企業をどうふやすかという御質問をいただきました。  まず、プランの方向性でありますが、現行プランは、御指摘がありましたように、健康・医療、環境・エネルギー次世代交通、この大きな三つの柱を成長期待分野と位置づけております。次期プランにおきましては、この3分野をさらに深掘りするとともに、長野県の強みを生かした取り組みを展開していきたいというふうに思っております。  例えば、健康・医療分野におきましては、長野県特有の発酵食品による産業振興といった個別テーマを設定いたしまして、産学官金が連携して高機能な新しい食品づくりなどの具体的なプロジェクトを推進していきたいと考えております。  個別テーマにつきましては、全県的なテーマに加えまして、地域振興局の協力を得ながら、地域の強みや特色などを生かした地域別のテーマも設定していきたいというふうに考えております。  また、成長期待分野にかかわる中小企業をどうふやすかという御質問でございます。  例えば、昨年ビジョンを策定いたしました航空機産業におきましては、専門のコーディネーターが新規参入を希望する県内中小企業中小企業振興センターなどの支援につなげております。こうした中で、大手の航空機関連企業との技術提携、技術連携が実現するというような事例も出てきているところでございます。  こうした取り組みを他の分野でも展開し、成長期待分野にかかわる県内企業をふやしていきたいと考えております。  以上でございます。       〔18番浜章吉君登壇〕 ◆18番(浜章吉 君)新しくは、特別テーマ、新しい食品づくりにもしっかりと取り組んでいくということでございます。  次期プラン策定に当たりましては、地域課題に的確に対応していただきまして、地域の中小企業に対しても、従来の施策に加え、長野県が今後成長が期待される分野を、雇用を含めいかに普及させていくのか。そのための強靱で多様な産業構造を構築するための方向を示していくこと、こうした視点での検討を深めていただきたいと思います。  大きい項目2点目でありますが、長野県地域医療構想につきましては、昨年の6月定例会におきまして質問させていただきました。将来の医療体制と在宅医療ということで、その後の展開についてお伺いをいたしてまいります。  県は、医療介護総合確保推進法により団塊の世代が75歳以上を迎える2025年を見据えて都道府県ごとに策定が義務づけられた長野県地域医療構想について、医療審議会のもとに設置した地域医療構想策定委員会に諮問をいたし、先日、その答申を受けました。  県下各区域の必要な医療需要に基づく病床数、現行病床数1万8,500床から1万6,800床へと1,700床減の推計、また課題を受け、どのように受けとめるのでしょうか。さらに、今回の答申を受け、長野県の実情に応じた将来の医療体制を実現していくために今後どのように取り組んでいくのか。知事の決意をお伺いいたします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)地域医療構想に関連いたしまして、病床推計等の受けとめ、それから今後の取り組みについて御質問いただきました。  まず、病床数あるいは在宅医療の患者数を推計した地域医療構想、これは、将来のあるべき医療、介護の提供体制を構築する議論の出発点になるものというふうに考えております。  この構想案、県内10の2次医療圏の関係者の御意見をお聞きしながら検討を進めてきたわけでありますが、策定過程において明らかになった課題が幾つかございます。在宅医療を支える訪問看護の充実であったり、医療機関同士の患者情報の共有、また患者の方が退院後も介護施設等で療養できる環境づくり等、地域のさまざまな課題が浮き彫りになってきております。県としても、こうした課題の解決に向け、地域の皆さんと一緒になって取り組んでいくことが重要だというふうに考えております。  そのため、構想策定後も、2次医療圏ごとの地域医療構想調整会議を引き続き開催いたします。県から医療機関や介護施設の状況、患者の受療動向等のデータの提供を行い、こうしたことを踏まえて、各医療圏の医療機能の役割分担と連携に関する検討を促進してまいりたいと考えております。また、こうした検討状況については県民にもお知らせをしてまいります。  こうした地域の検討結果に基づきまして、病状が落ち着いて退院を目指す患者の方々を受け入れる地域包括ケア病床の整備でありますとか、あるいは訪問看護ステーション機能の充実、さらには医療・介護の連携を進めるためのネットワークづくりなど、将来の医療・介護提供体制構築に向けた地域の取り組みを地域医療介護総合確保基金を活用して支援をしていきたいと考えております。  こうした取り組みを通じて、県としても、誰もが住みなれた地域で安心して暮らし続けることができる体制を構築するべく取り組んでいきたいと考えております。  以上でございます。       〔18番浜章吉君登壇〕 ◆18番(浜章吉 君)構想案では、今後の主要な施策に、自宅や介護施設等での療養において提供される在宅医療の推進が示されておるところでございます。  本県の在宅医療の現状と課題への認識及び在宅医療の推進とはどのような姿となることを目指し、どのような取り組みを進めていくのか、健康福祉部長にお伺いいたしますが、この点につきましては、先週夜10時からのNHKテレビで大きく取り上げられて、地域におきましても大変な関心を寄せているところでありますから、そういう意味を含めて、在宅医療の推進とはどういう姿が求められるのか、その辺のところを御答弁をいただきたいと思います。       〔健康福祉部長山本英紀君登壇〕 ◎健康福祉部長(山本英紀 君)在宅医療の現状、課題への認識と取り組みの推進についてのお尋ねであります。  平成27年度に県で実施した在宅医療に関する調査によると、病院ではなく自宅や介護施設等で療養したいと回答した県民が約4割であるのに対し、実際に自宅等で最期を迎える人は約2割となっております。  その理由として、在宅医療・介護にかかわる多職種連携が困難であるなどサービス提供体制上の課題に加えて、患者や家族の在宅医療、みとりに対する理解が不足していることなどがあると考えております。  県では、県民が住みなれた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができる在宅医療・介護の提供体制を構築するため、これまでの取り組みに加え、在宅医療にかかわる医師、看護師、介護福祉士などの多職種連携の体制の強化、在宅医療による負担や患者の急変時の対応など家族が知りたい情報の提供、高齢者の在宅みとりに関する普及啓発などに取り組むモデル事業を実施し、全県に周知することにより、さらなる在宅医療の推進に向けて取り組んでまいる所存であります。  以上であります。       〔18番浜章吉君登壇〕 ◆18番(浜章吉 君)御答弁をいただきました。長野県は長寿県でありますから、こういった多くの場面に遭遇するわけであります。ぜひとも前向きなお取り組みをお願いしてまいりたいと思います。  それでは、次に大きな項目3点目でありますが、ワカサギ大量死対策と諏訪湖創生ビジョンの策定についてお伺いをいたします。  諏訪湖では、昨年7月にワカサギなどが大量に浮き、その日の夕刻から吹き始めた南東寄りの風で、翌朝には岡谷市と下諏訪町側に打ち寄せられ、新聞報道によれば約20トンものワカサギが大量死したとのことであります。直後、さまざまな原因が推定されましたが、いまだ特定できておりません。本格究明をすべきと考えます。  この点につきましては、発生直後であります昨年の9月定例会におきましても指摘をいたし、県でも同様な認識のもと取り組まれていることと思いますが、現在の状況と来年度の具体的な取り組み内容について、環境部長にお伺いをいたします。       〔環境部長関昇一郎君登壇〕 ◎環境部長(関昇一郎 君)諏訪湖のワカサギ等の大量死の取り組み状況と対策についてのお尋ねでございます。  これまで、ワカサギの大量死の原因の究明に向けまして、水質、植物プランクトン、気象などのデータを用いて分析を行い、専門家から御意見を伺ってまいりました。  貧酸素水域の拡大などが主な原因と考えられておりますが、大量死発生時の詳細なデータが少なく、原因の特定には至っておりません。このため、来年度は調査研究体制を抜本的に充実したいと考えております。  具体的には、湖内の複数地点への溶存酸素濃度の連続測定器の設置、プランクトン調査に動物プランクトンを加え、さらに夏場の測定回数を1回から2回に拡大、信州大学と連携して行います貧酸素水塊発生の一因とされる底泥の調査研究などによりまして、貧酸素発生メカニズムの解明のための調査研究を進めてまいりたいと考えております。  また、貧酸素の解消に効果があることが確認をされておりますヒシの刈り取りを継続して行うとともに、ヒシの繁茂を抑制するため、発芽直後のヒシの種子除去の面積を今年度の40倍の10万平方メートルに拡大をし、ワカサギの避難場所を確保することを予定しております。       〔18番浜章吉君登壇〕 ◆18番(浜章吉 君)御答弁をいただきました。  ヒシの抜き取り面積も広げていくということであります。この点に関しましては、このワカサギの大量死と特に関係すると言われておりますけれども、湖底をしっかりかき回すといいますか、昔でいう代かき的な部分、そこまでやらないと、恐らくこの大量死から始まって貧酸素の問題が解決できないのではないかということが地元のいろいろな関係者から指摘がなされているところでございます。  刈り取り面積も広げていくということでございますから、しっかりとした究明をお願いしたいと思いますし、二度と同様な事態が発生しないようにさまざまな角度から対策を講じていただきたいとお願いをしておきたいと思います。  県は、新年度施策の中で、平成29年度から第7期諏訪湖水質保全計画、これは2017から2021年度でありますが、これを定めるのにあわせて、水質保全だけでなく生態系の保全、水辺環境整備やまちづくりなどの視点を加えた諏訪湖の将来像を示す諏訪湖創生ビジョンを新たに策定するとのことであります。中長期的に目指す諏訪湖と周辺地域の姿をどのように描いていくのでしょうか。また、策定後はどのように取り組んでいくのでしょうか。中島副知事にお伺いをいたします。       〔副知事中島恵理君登壇〕 ◎副知事(中島恵理 君)諏訪湖創生ビジョンが目指すものと策定後の取り組みについての御質問をいただきました。  諏訪湖のこれまでの環境目標は、COD、リン、窒素といった水質の目標が中心でありましたが、これらの水質が改善する一方、ワカサギ等の漁業資源が減少するという課題が生じています。また、御指摘いただきました今回のワカサギの大量死を踏まえて、水質だけではなくて、生態系全体を捉えた目標や対策の必要性を痛感しております。  そういった意味で、今後は、水質に加え、水生植物、漁業資源を含む水生生物にとって望ましい水環境のあり方、その目標達成のための対策の検討が必要であるというふうに考えています。そういった意味では、先ほどお話のありました貧酸素対策等のワカサギの対応もしっかり検討していきたいというふうに思っています。  また、水質が悪化していた過去と比較をして、流域の住民の諏訪湖に対する関心が低くなっているということも踏まえ、より多くの人々が諏訪湖を訪れ、触れ合うことのできる環境整備など、諏訪湖を生かしたまちづくりの視点も欠かせないというふうに考えています。  そこで、諏訪湖創生ビジョンの策定に当たっては、地域の皆様とともに、水質だけではなくて生態系保全など水環境全体、そして湖水面の活用、まちづくりといったさまざまな観点から10年から20年後の諏訪湖のあるべき姿を描きたいというふうに思っています。  また、ビジョンには、あるべき姿を達成するためのわかりやすい指標や、具体的、効果的な対策、さらには地域の皆様とともに諏訪湖の魅力を高める協働事業をぜひ盛り込んでいきたいというふうに思っています。  創生ビジョンは、新たに設置する諏訪地域振興局を中心に策定していくこととしております。策定後も諏訪の現地機関、本庁の関係部局と連携を一層密にし、地域振興局が核となって地域の皆様と協働してビジョンの実現、地域の課題解決に向けた取り組みを進めてまいります。  以上でございます。       〔18番浜章吉君登壇〕 ◆18番(浜章吉 君)かつての諏訪湖ではアオコが、そして現在はヒシの大量繁茂等が課題になっておりますけれども、透明度につきましては、以前に比べ見違えるように向上しておりますし、県と湖周2市1町が連携して今後サイクリングロードを整備するというような、豊かな水と緑の環境を生かした憩いの交流の場としても期待しておりますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。  諏訪湖創生ビジョン策定に当たっては、誰もが安全に自然と触れ合うことができるよう、多岐にわたった内容が盛り込まれるものと思いますし、今お話がございましたように、地方事務所にかわる地域振興局において、地域づくりに積極的に関与することになるということでありますが、その専門性や限られた人員からしても、策定はかなり容易ではないことが想定されるわけであります。  そこで、単に行政だけでなく、地域の声や市町村の意見もあろうかと思いますし、どのような体制で策定に取り組まれていくのでしょうか。また、諏訪湖に関しては、環境、教育、建設、スポーツ、健康等、さまざまな活用計画があるのではないかと思いますが、諏訪湖創生ビジョンとそれぞれの計画との関係についてどのように取り組んでいくのかを環境部長にお伺いをいたします。       〔環境部長関昇一郎君登壇〕 ◎環境部長(関昇一郎 君)まず、諏訪湖創生ビジョン策定の体制についてのお尋ねでございます。  諏訪湖創生ビジョンの策定に当たりましては、中島副知事を座長といたしまして、諏訪地域の現地機関や本庁の関係部局で構成いたします諏訪湖創生ビジョン会議を設置をいたし、地域振興局が中心となり、本庁もしっかりバックアップできる体制を整備していきたいと考えております。  また、地域懇談会の開催や住民アンケートの実施、市町村長も構成員となっております諏訪地域戦略会議や、市民団体の皆様も参加される諏訪湖環境改善行動会議で御意見をいただくなどし、地域の皆様の思いや考えをビジョンにしっかり反映してまいりたいと考えております。  次に、他の計画との関係についてのお尋ねでございます。  諏訪湖創生ビジョンは、水質保全はもとより、水辺環境整備、まちづくり、観光振興など各種施策を諏訪湖を軸として有機的に連携をさせ、諏訪湖のあるべき姿を示すものとなります。このため、第7期の諏訪湖水質保全計画ですとか、諏訪湖の水辺整備マスタープランをビジョンの中に統合して一体的に策定をするとともに、環境基本計画や漁業振興計画などと調整、整合させながら、諏訪湖という切り口で取りまとめ、今後の諏訪湖に関連した施策推進の基本方針や具体的な施策を示していきたいと考えております。  以上であります。       〔18番浜章吉君登壇〕 ◆18番(浜章吉 君)諏訪湖創生ビジョン策定に当たりましては、中島副知事を中心としてしっかりとした体制を組んでいただくこと、そして、本庁においてもバックアップをしっかりしていただいて、内容のあるものにしていただきたいというふうに思うわけであります。  自然と共生し、水と緑を守り育て、豊かな生態系を次代に引き継ぐこと、そして憩いと交流の場、自然と触れ合える場として期待しておりますし、諏訪湖は長野県民にとりましても重要な財産であります。次期総合5カ年計画や諏訪湖創生ビジョン策定においては、この点も大いに配慮した上で、その成果が十分発揮できるものとなるよう、一昨日の知事の答弁の中の長野県の持つ固有のすばらしさをさらに発展できる県づくりに努めるとの思いに注視しながら期待を申し上げ、折しも、本日はプレミアムフライデーということでありますから、以上で一切の質問を終わりとさせていただきます。 ○議長(向山公人 君)次に、髙島陽子議員。       〔17番髙島陽子君登壇〕 ◆17番(髙島陽子 君)私は過日、所属する国際的社会奉仕団体の長野県チームの一員に加わり、フィリピンを訪れました。移動を含め5日間と短期間ではありましたが、フィリピンも、医療奉仕活動に携わるのも初めてで、歯科、眼科、内科の医師20人を含む総勢170人とともに力を合わせて取り組みました。  この活動は40年超の歴史と実績があり、当地の公衆衛生や医療、福祉において少なからぬ進展に寄与し、国と国とをつなぐ小さな貢献を果たす意義を確認できました。  フィリピンの人口は1億人を突破し、東南アジア諸国連合ではインドネシアに次ぐ大国となっていて、平均年齢が23歳と、ベトナムなど周辺国に比べ圧倒的に若く、労働力が経済成長を押し上げる人口ボーナスが当面続くとされています。確かに、活動をした会場の公会堂や学校に集まってくる大勢の人たちは、若年層に厚みが感じられました。  出稼ぎ人材の国とか、国全体が派遣会社のようなどと言われるようですが、実際に現地で見て実感したのは、想像以上に子供が多いことと、今の日本が抱える課題とはかけ離れた環境だということです。この経験を踏まえ、翻って私たちの国は今どのような状況にあるのかを突きつけられた思いです。  前置きが長くなりましたが、国際的な見地から地球規模で向き合うことと、挑戦を恐れず行動するの意を強くし、長野県の環境政策に視点を移したいと思います。  県は、17年度、環境エネルギー政策を国際的にも先導するとの観点より、環境省や持続可能性を目指す国際的な自治体ネットワークであるICLEIとの連携によって環境エネルギーに関する国際会議を開催する計画があり、このことに関して5点お尋ねしたいと思います。  2月8日、日本とドイツの自治体連携による脱炭素社会に向けたエネルギー転換のワークショップが東京の国連大学で開かれ、再生可能エネルギーによる地域づくりに取り組む両国の自治体関係者が参加しました。長野県からは中島副知事も参加され、長野の実情を語り、またドイツの自治体、公社関係者から有益な情報を得たこととお聞きしています。  このワークショップでは、再生可能エネルギー導入の先進地であるドイツのオスナブリュック市、同市と同都市公社から幹部が参加していますが、発表したドイツのソーラーマッピングという手法や都市公社の話が興味を引いたと言われている。  ソーラーマッピングは、飛行機で市内全域をレーザースキャンし、全建物の屋根の傾斜や方向を調べ、太陽光パネルの年間発電量などを示すもので、都市公社は、公共交通や公共プールの運営、風力発電事業、バイオマスボイラーでの大学への熱供給事業、家庭への太陽光発電のリース事業などを行っている。
     また、ゲッチンゲン郡の人口770人のユーンデ村はバイオエネルギー村と呼ばれ、エネルギーの自給自足が行われている。それは、カッセル大学とゲッチンゲン大学の共同研究で提案され、家畜のふん尿やわらなどを利用したバイオガス施設による電力供給と、間伐材からつくる木材チップを原料とした地域暖房供給施設、これは冬の間のみ稼働ですが、の二つがある。初期の設備に対し、3割から5割は補助金が充てられたが、あとは住民が電力会社を設立し自主運営という。ワークショップでは、このような先進事例が幾つか紹介されたということです。  そこで、中島副知事は、長野県再生可能エネルギーの目標値などについて紹介し、ドイツの事例に対し、ソーラーマッピング、熱台帳は日本でも導入できると思う。ドイツに学びたいと発言されたとのこと。  太陽光発電による地消地産とは、県外に売却されてしまう巨大メガソーラーではなく、一般家庭が中心になる。このため、この熱台帳は普及促進には有効なツールで、名古屋市や東京都では既に導入されているという。そこで、これを長野県でも早急に導入したらいかがでしょうか。また、ゲッチンゲン郡のバイオエネルギー村に倣って、長野県でもこうした先進的な村づくりに取り組む考えはないか。  以上2点を中島副知事に伺います。       〔副知事中島恵理君登壇〕 ◎副知事(中島恵理 君)今後の国際的な長野県の再生可能エネルギーの進め方について二つ御質問いただきました。  まず、ソーラーマッピングについてですが、議員御指摘のとおり、私もこの間のドイツとの交流でソーラーマッピング等の有効性について学んできました。ドイツでは、約1,500の自治体や地域でソーラーマッピングが導入されております。  そういった中で、このソーラーマッピング、市民がインターネットで検索ができるシステムを構築し、当初はすぐには普及しなかったんですが、導入するメリットを丁寧に説明をして市民みずからの行動を促すことで、徐々に口コミで広がって、現在ではドイツの太陽光発電は飛躍的に導入が進んでいるというふうに伺っております。  また、先生から御指摘のあった東京都でも、平成26年度に東京ソーラー屋根台帳として導入し、島嶼部を除く東京都全域の建物の屋根の太陽光発電と太陽熱利用のポテンシャルマップを公開しているということで、東京都の取り組みを我々も学んでいるところでございます。  こういった先進事例から見ますと、ソーラーマッピングは、再生可能エネルギー推進の観点から非常に有効な手法の一つだというふうに考えております。太陽光発電の導入に着実につなげるためには、建築物における環境エネルギーの導入検討制度や、初期投資を軽減する金融の仕組みとあわせて検討することが効果的と考えておりますので、市町村等とも協力しながら、政策パッケージの一つとしてぜひ考えていきたいというふうに思っております。  それから、バイオマスエネルギーによる村づくりについての御質問でございます。  ドイツのユーンデ村では、村内で得られる豊富な農林業残渣、トウモロコシなどのエネルギー作物を活用したバイオガスのコジェネ施設、木質チップボイラーにより村内で必要とする電気と熱を村内に存するバイオエネルギーで自給をしております。  長野県でも、ドイツのようなエネルギーの地消地産を進めるファーストステップ、すなわち1村1自然エネルギープロジェクトとして、バイオマス等の発電、熱利用事業等に必要な計画策定や施設導入の補助を行っておりまして、現在183件の事業が登録されております。ドイツのバイオエネルギーの村のような取り組みに関しましては、長野県では、木質バイオマスのほか、廃棄物発電や下水汚泥等の活用など複数のバイオマス資源を組み合わせることが有効であるというふうに考えられます。  そこで、今年度から、単体の事業への支援だけではなくて、地域レベルにおける面的な自然エネルギーの事業計画づくりへの策定支援を始めております。さらに、来年度からは、下水処理場における下水汚泥等のエネルギー源として有効利用を促すスマート下水道プランの策定も予定しております。  これらによりまして、今後は1村1自然エネルギーから発展して、バイオマスエネルギー村を初めとする自然エネルギー100%の地域づくりに向けて取り組みを着実に進めていきたいというふうに考えております。  以上でございます。       〔17番髙島陽子君登壇〕 ◆17番(髙島陽子 君)ワークショップでドイツ側から一様に疑問の声が出たのが、日本からの発表事例が太陽光発電の事例ばかりだったと、このようにお聞きしました。これについては、主催者の人選も無関係ではなかったようですが、ドイツの場合は、太陽光だけでなく、バイオマスなどもかなり重視されています。長野県にはバイオマス資源は豊かで、エネルギーの地消地産を目指すための有力なツールの一つのはずです。こうした点を踏まえ、長野県での国際会議では、太陽光を使った事例発表だけでなく、バイオマス、小水力などバランスのとれた事例を取り上げるよう要望したいが、御見解を伺います。  また、長野県環境エネルギー戦略の中間見直しを新年度に行い、自然エネルギーを活用した地域づくりの推進によるエネルギー自立地域の確立に取り組むというが、設備容量の目標値を見ますと、2020年が太陽光145.1万キロワットに対し小水力が1.2万キロワット、バイオマスが3.2万キロワット、そして2050年が同269.5万キロワットに対し14.1万キロワット、そして10.8万キロワットと、太陽光が突出しています。見直しに当たっては、巨大メガソーラーばかりに目を奪われず、バイオマスなどほかの再生可能エネルギーに重点を置いて普及のあり方を考えるべきではないでしょうか。  さらに、今回参加したオスナブリュック市などドイツの自治体では、都市公社や協同組合が重要な役割を果たしている。ここが水道、ガス、再生可能エネルギーの電気、熱供給などの事業を行っています。もちろん民間事業者との競争が前提ではありますが、市民が参加できる分散型小規模で地消地産というメリットがあるとの報告がなされたそうです。長野県でも地域で誰が事業を担うのかという点で見習う点があるのではないでしょうか。  以上3点について環境部長にお聞きします。  続いて、木質ペレットの利活用について林務部長に質問します。  欧州では、木質バイオマス利用の一つとして、ストーブやボイラーでの木質ペレットの利用が進んでいますが、長野県における木質ペレットの利用の現状と今後の取り組みについて伺います。       〔環境部長関昇一郎君登壇〕 ◎環境部長(関昇一郎 君)まず、国際会議の開催についてのお尋ねでございます。  この秋に開催を予定しております国際会議では、再生可能エネルギーにかかわる動きを発展させるために、ドイツを初めとして国内外の有識者をお招きし、その知見を共有し、地域に新たな協力関係を構築することにより、エネルギー自立地域の取り組みを発展させることを狙いとしております。  現在想定しております会議のテーマは、再生可能エネルギーの普及拡大を目指す自治体のネットワーク化、そして、地域エネルギー供給体制の構築化などでございます。  再生可能エネルギーは、世界の発電量で見ますと、風力が14%、バイオマスが8%、太陽光が4%となっておりまして、国内外の参加者からは、バイオマスや小水力も含め幅広い事例が取り上げられるよう取り組んでまいりたいと考えております。  次の太陽光以外の再生可能エネルギーの普及についてのお尋ねでございます。  環境エネルギー戦略では、固定価格買い取り制度の開始によりまして、メガソーラーに限らず太陽光発電設備の導入が急速に進んだことから、その影響を考慮して、平成27年9月、太陽光発電についてのみ目標を上方修正し、2020年時点の太陽光発電の設備容量の目標を25万キロワットから145万キロワットに改定いたしました。  県といたしましては、地域主導型のエネルギー自立地域を拡大していくためには、太陽光に限らず、各地域の実情を踏まえたさまざまな再生可能エネルギーの導入を促していくことが必要だと考えております。  小水力発電やバイオマス発電については、太陽光発電と比較しますと開発までに長期間を要すること、高額な初期投資が必要となること、関係者との十分な調整が必要なことなどの課題がございます。  このため、収益納付型の補助制度や小水力発電の事業化を部局横断でサポートするキャラバン隊などによる支援に加え、地域の金融機関と連携した相談体制の充実などさまざまな再生可能エネルギーの普及策を検討してまいりたいと考えております。  最後に、再生可能エネルギーの担い手についてのお尋ねでございます。  ドイツの都市公社は、1800年代半ばごろから自治体が出資をして設立され、ガスや電気のエネルギー供給や公共交通サービスの提供などが行われており、ドイツでは、現在1,500ほどの都市公社が運営をされております。  特に、みずから再生可能エネルギーで発電した電力を供給したり、地域の発電事業への出資などを積極的に行っており、地域のエネルギー供給者としての役割を担っており、地域住民の理解や参加のもとで事業が行われている点など、参考になることも多いものと考えております。  都市公社などは、歴史的な経緯を持ったドイツの制度であり、そのまま我が県に当てはめることはできませんが、地消地産の仕組みや市民出資など、本県でも参考にできる地域のエネルギー供給の本質的な要素を学ぶことにより、市町村や事業者と協力をしてエネルギー自立地域の形成を推進してまいりたいと考えております。       〔林務部長池田秀幸君登壇〕 ◎林務部長(池田秀幸 君)木質ペレットの利活用に関する御質問をいただきました。  木質ペレットは、森林資源の有効活用に加えまして、地球温暖化防止や地域の産業創出にも寄与する身近な燃料でございまして、平成15年度に県内で初めて上伊那地域でペレット製造工場が稼働して以来、県では、森のエネルギー総合推進事業によりまして、ペレットストーブやペレットボイラー等、ペレットを利用する設備の導入に対して支援をしてまいりました。この支援によりまして、平成27年度末までに、ペレットストーブは2,061台、ペレットボイラーは公共施設や温浴施設を中心に37基新たに導入をされております。  また、こうした燃焼機器の普及に伴いまして、県内のペレット生産量も年々増加傾向にございまして、県内3カ所の製造工場で平成20年に1,800トンであった生産量が、平成27年には約2倍の3,500トンにまで増加をしております。  県といたしましては、今後も、公共施設を初めとするさまざまな施設へのペレットボイラー等の導入支援でありますとか、ペレットの加工流通体制整備への支援等を通じまして、木質ペレットのさらなる利用拡大を図ってまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔17番髙島陽子君登壇〕 ◆17番(髙島陽子 君)それぞれ御答弁いただきましたけれども、一つ知事にお聞きしておきたいと思います。お願いします。  この秋の国際会議の進め方についてなんですけれども、中島副知事を先頭にプロジェクトチームで進めていくのが望ましいと思いますが、それについて知事はいかがでしょうか。環境分野で専門性を大いに発揮できる長野県のすぐれた人材として、ぜひともこの国際会議の開催に当たっては、中島副知事に前面に出て指導し統率していただきたいと要望します。関係各部局を横断的につないでぜひ成功に導いてほしいと願っています。知事が女性の副知事として起用されたことによる影響は倍増すると確信します。知事のお考えを伺います。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)環境エネルギー政策についていろいろ御質問をいただく中で、最後に私に対して、この秋開催の国際会議は中島副知事を中心に取り組ませてはどうかという御提案をいただきました。  中島副知事は、これまでも、地球温暖化対策課長を務め、そして現在も副知事の立場で長野県の環境エネルギー政策を牽引してきてもらっているというふうに思っております。そういう意味で、事実上そういう立場になるというふうに思っています。  今回の国際会議にどういう体制で臨んでいくかということについては、これから我々内部でしっかり検討していきたいと思いますので、今髙島議員からいただいた御指摘も十分念頭に置きながら、この国際会議がしっかりと成功するように、そして、この国際会議の中で長野県の取り組みが世界に発信できる場となるように工夫をしていきたいというふうに思います。  以上です。       〔17番髙島陽子君登壇〕 ◆17番(髙島陽子 君)大変うれしい御答弁をいただきました。中島副知事が大変多忙なことは承知の上ですけれども、女性活躍の長野県のシンボルということで前面に出て、スタッフにも女性をたくさん加えていただいて大いに活躍していただきたいと、そんなふうに願っています。  知事の議案説明にも何度か登場します持続可能な社会を標榜し、計画し、行動していくことは、経済成長を遂げ、成熟した社会環境を整えた国の必然と責務であります。その国土の真ん中にある信州、長野県で営まれる生活が豊かに感じられ、より確かさを実現するために、固有の山々初め県土や自然など長野県が独自に持っている資源を生かし守ることは、ここで申し上げるまでもなく、世界的な価値として認められつつあります。  今度の国際会議は、会議を開くことにとどまらず、その先で行動に移していけること、県民が参加し共有していけることが肝要です。ビジョンを掲げ、すぐれた先進事例に学び、必要に応じてそれらを優先的に採用、導入して、県民に最大限シェアができるような取り組みに期待し、私の質問を終わります。 ○議長(向山公人 君)次に、依田明善議員。       〔12番依田明善君登壇〕 ◆12番(依田明善 君)森林認証について御質問させていただきます。  森林認証という言葉は日本においてはまだまだ認知度が低いと思いますが、この制度の意義、あるいはメリットやデメリットはどこにあるのか。そして、この国際的な認証制度が、独自の森林政策を推進している日本の林業の発展につながるのか否か。つなげていくためには、どのような取り組みを国や県、あるいは林業関係者が行っていくべきなのか。そんな観点から御質問をさせていただきたいと思います。  森林認証制度は、もともと違法な森林伐採や森林における自然破壊等が深刻化している海外においてその対応策として生まれた制度であります。植林、育林、伐採、運搬、流通等において常に目を光らせ、適正な森林計画や管理がなされた木材のみが認証を受けるという仕組みであります。  消費者側から見れば、由緒正しい木材を手に入れることへの安心感や、自然保護、環境保全に対してみずからも貢献しているんだといった満足感を得ることにもなろうかと思います。ただし、裏を返せば、認証を受けていない木材には否定的なレッテルを張られてしまう危険性もあり、言い知れぬ不安を個人的には抱いております。  さて、この森林認証ですが、世界的には大きく分けて二つの団体がございます。一つは、PEFCというヨーロッパ11カ国とアメリカ、カナダが参加する団体であります。もう一つが、FSCという世界自然保護基金を中心として発展してきた団体であります。  実は、我が国においてもSGECという国際認証団体があります。日本の場合は、人工林のウエートが高いことや、個人の森林所有者が多いという特殊な事情が背景にあります。そんな日本の実情に合わせるために発足したのがこの団体であります。  次に、この森林認証の仕組みですが、大きく二つに分けられます。その一つがFM認証であります。これは、主に森林管理がしっかりとなされている森林に対してお墨つきを与えるもの。もう一つがCoC認証であります。これは、木材の流通や加工体制がしっかりとなされている流通加工業者に対してお墨つきを与えるものであります。  では、木材の品質はどうなのか。残念ながら、その制度上、品質のよしあしは評価されません。例えば、木曽ヒノキの香りのよさ、木目の美しさ、すぐれた耐水性といった点をどんなにアピールしても、それは認証を取得する条件にはならないということであります。  県としては、この制度の仕組みや意義等をどのように考えておられるのか。林務部長の御見解をお伺いしたいと思います。  次に、本県における森林認証の取り組み状況でありますが、上小地域では官民ともに実績がありますし、佐久地域におきましても、本年2月1日に佐久地域の9市町村や県林務課が「信州カラマツの故郷~佐久森林認証協議会」というものを設立し、盛り上がりを見せております。しかしながら、他の地域では動きが鈍いようであります。その理由はどこにあるとお考えでしょうか。  東京都の多摩地区など、森林認証取得に向けて一気に加速している地域もふえてまいりましたが、本県としてはどのようなスタンスを今後おとりになるのか。林務部長の御見解をお伺いいたします。  また、森林認証を取得、継続するには、申請料、審査料、協議会運営費など何かと費用がかかります。例えば、森林管理を主体とするFM認証を2万ヘクタール申請する場合、申請費用で200万円以上かかります。また、申請書類も複雑多岐にわたるため、専門のコンサルタント等に依頼することになろうかと思いますが、その費用は審査費用とほぼ同額の200万円前後だと言われております。さらには、協議会運営費など毎年100万円近い費用がかかるとのことですが、果たしてこれらの費用を販売利益から容易に捻出することができるのでしょうか。  また、森林認証を取得し、認証材を出荷するということになりますと、関係する自治体や事業者等が認証にかかわる費用を負担するということになります。場合によっては、小規模の素材生産者などにも負担を求められることにもなろうかと思いますが、ぎりぎりの経営状態の中でさらなる費用負担には耐えられないといった、そんな声もあります。木材価格も長らく低迷を続ける中、高い費用をかけて認証を受けることに対し、林務部長はどのような御見解をお持ちでしょうか。お答えをいただければと思います。  さて、この森林認証ですが、この言葉が注目されたのが一昨年から昨年にかけてであります。東京オリンピックにおける新国立競技場の設計を建築家の隈研吾氏が手がけることに決定したというニュース。その中で、建物のコンセプトは木のひさしに囲まれた森の中の競技場であり、使用される木材は森林認証を取得したものが基本であるといった報道がなされたわけであります。  これによって、各地の木材産地は色めき立ちました。特に、北海道の森林関係者の喜びはひとしおだったと想像いたします。というのも、北海道では、既に森林認証を取得している面積は昨年3月時点で111万ヘクタールを誇り全国1位、実に全国の認証材の6割を占めているからであります。北海道では、平成15年に下川町が認証を取得したことを皮切りに、各地で取得への取り組みが進められました。そういった努力が実を結び、北海道の認証材は、今や建築、土木、建具、家具等も非常に出回っております。そんな中で飛び出したオリンピック競技場のニュースですが、森林認証という言葉とともに、北海道の先見的な取り組みが脚光を浴びたというわけであります。  ちなみに、2位は山梨県、3位は熊本県でありますが、認証面積はともに北海道の7分の1から8分の1程度、注目の長野県は36位ですから、認証取得への取り組みは始まったばかりだと言っても過言ではありません。  今、世界市場においては、国際基準というキーワードを無視することができません。例えば、オリンピックなどの祭典においても、選手村などで食事を提供する生産者は、グローバルGAP等といった安全性や環境保全などに関する国際認証規格の取得が求められるようになりました。  グローバルGAPは非営利団体であり、ドイツに本部がありますが、日本にも相互認証を行っているJGAPがあります。認証取得には100万円ほどの費用がかかりますが、これは農水省が全面的に支援しております。ただし、取得に向けては多くの項目において安全確保などに取り組む必要があり、これは専門的なコンサルタントによる指導が不可欠だということであります。  そこで、県農政部では、来年度予算において国際水準GAP実践拡大事業として394万円の予算を計上いたしました。どのような思いで計上され、どのような展開を期待されておられるのか。農業を取り巻く世界情勢も鑑みての農政部長の御見解をお聞かせください。  また、木材においても国際基準が重要視される時代にあっては、国や県としても、市町村、森林組合、個人事業者等に何らかの支援が必要になろうかと思いますが、林務部長の御見解をお伺いしたいと思います。  このように、国際化が進む中においては、今までの農林業施策や取り組みだけでは世界と勝負ができない状況になりつつある昨今、国として、県として、どうかじを取るべきなのか。その岐路に立っていると感じるわけであります。  オリンピック施設の木造部分一つとってみても、ロンドンオリンピック、リオオリンピックにおいては、実に90%以上が認証材であります。認証材以外は木材にあらずといった間違った認識が世界中に根づいてしまうのではないかといった不安感は拭えませんが、しかし、そんな不安をよそに、森林認証の存在感は増すばかりであります。  だとすれば、本県においても、この制度を正しく理解し、認証を取得した暁には、木材がまざり合ってしまうといった認証材の信頼性を根本から損なうような事件、事故等を防ぐようにしなければなりません。それには、林業にかかわる人々、それを消費する人々などの意識改革も大いに必要だと思うわけであります。森林認証という新たなる概念を長野県民の意識の中にどのように根づかせていかれるのか。林務部長の御見解をお伺いしたいと思います。  さて、信州の木材は、樹種や産地によってばらつきはありますが、おおむね品質が高く、取引業者等の評判も上々であります。森林県から林業県に脱皮できる要素は多分にあると思いますが、このような美林を育ててきた人々の努力を無駄にしてはならないと思います。信州木材を新たなるブランド材として育て、融合させ、さらに付加価値を高める取り組みが不可欠ではないでしょうか。  昨年、森林認証に関する視察で北海道へ赴いた際、その普及に取り組んでいるある木材業者さんが次のようにおっしゃっておりました。森林認証を取得しても特にもうかるわけではありません。強いて言えば、現場がきれいになり、社員の意識も向上し、会社のイメージがそれなりによくなったといったところであります。しかしながら、カラマツなどの品質の点で言えば長野県産のほうが間違いなくよいでしょうとのことでした。  私は、その言葉を聞いて複雑な気持ちになりました。確かに、広大な貯木場に積まれているカラマツを見ましたが、どう見ても切り口部分の色艶といい、もとから裏までの成長ぐあいといい、信州カラマツのほうがすぐれているように思えました。カラマツは、もともと標高1,000メートル前後が生育に最も適していると言われておりますから、海沿いで海風に吹かれているケースの多い北海道産カラマツでは生育に支障が出るのもいたし方ないと思います。だとすれば、信州カラマツの優位性を存分に生かし、北海道の認証材に勝ち得るようなブランド化を大いに推進すべきだと思います。  よかろう、安かろうでは、商売を続けるモチベーションは下がる一方だと思います。やはりよいものは安売りしないという販売戦略のもと、しっかりと利益を出し続けることが肝要ではないでしょうか。長野県のヒノキ、カラマツ、アカマツなどの優位性をどうやって県内外にアピールするのか。さらには、森林認証を活用しながらいかに価格の上昇につなげ、林業県の構築を図っていかれるのか。最後に知事の御見解をお聞かせいただければと思います。       〔林務部長池田秀幸君登壇〕 ◎林務部長(池田秀幸 君)森林認証制度についての御質問をいただきました。順次お答えを申し上げたいと思います。  まず最初に、制度の仕組みや意義についての御質問をいただきました。  森林認証制度は、世界的な森林面積の減少等を背景といたしまして、適正に管理され、持続可能な森林経営が行われている森林から産出した木材や木製品に認証マークを付与することで消費者の選択を促す仕組みでございまして、世界的に普及が進んでいると認識をしております。  この制度は、持続可能な経営が行われている森林の認証を行うFM認証と、加工・流通段階での分別管理の認証を行うCoC認証で成り立っておりまして、違法に伐採された木材の流通を防ぎ、適正な森林管理を促すという点で効果のある制度と考えております。  このように、森林認証につきましては、議員御指摘のとおり、木材の品質の高さというよりは、合法性や持続可能性を担保する仕組みとなっておりますので、木材の品質等に関して言えば、日本農林規格制度や信州木材認証制度を活用することが有効であるというふうに考えております。  次に、木材認証の県内での動きと県のスタンスについての御質問でございます。  森林認証の取得状況につきましては、消費者の森林認証の認知度が低いことなどを背景といたしまして、県内のみならず全国的に低い状況でございます。しかしながら、東京オリンピック・パラリンピック関連施設での木材調達につきましては認証材が基準とされたことに象徴されるように、国際的な木材流通においては、合法性や持続可能性に関する関心が高まってきております。  こうした動きを背景に、県内でも東信地域や伊那谷地域では森林認証取得に向けた取り組みが進められ、その他の地域においてもFM認証取得の動きがあるほか、県下17の事業者が連携して全県的なCoC認証取得の取り組みの展開も始まっているなど、森林認証取得に対する機運も高まってきているというふうに認識をしております。県といたしましては、認証取得を希望する地域に対する支援に取り組んでまいりたいと考えております。  次に、森林認証の費用負担についての御質問でございます。  輸出などの国際的な木材流通に対応しようとする地域では、合法性等の証明のために認証取得が求められることがふえると考えておりますが、議員御指摘のとおり、現状では森林認証に要した費用を材価により短期間で回収することは難しいと考えております。  このため、森林認証の取得に当たりましては、その費用をいかに低減させるかが重要となりますけれども、有効な手法の一つといたしまして、複数の森林所有者や事業体が共同で認証を取得するグループ認証という方法がございます。上小や佐久地域においてもこの方法を採用しているところでございます。  グループ認証では、費用を構成員で分割するために、多くの構成員の参加を促すことが経費の削減につながるため、県といたしましては、市町村や森林林業関係者に対する説明会などを通じまして、森林認証の取得を希望する者に対し、グループ認証など費用を抑えた認証取得の手法の紹介を行っているところでございます。  次に、森林認証取得に対する支援についての御質問でございます。  森林認証は、合法性や持続可能性等を担保するものであり、これらを必要とする消費者をターゲットといたしまして、森林の経営から伐採、加工、流通まで地域で一体的に取り組む必要があるものと認識をしております。  このため、県といたしましては、森林認証取得の意向がある地域に対しては、川上から川下までの地域の関係者がビジョンを共有しまとまった対応がとれるよう、先進地域に関する情報の提供でありますとか地域の統一した森林管理方針の策定に対する技術的指導などを通じまして、地域の合意形成への支援を行っているところでございます。
     特に、佐久、上小地域でのグループでの認証取得への取り組みによりまして、協議会の組織や地域での合意形成の手順などについて具体的な知見やノウハウなどが得られたことから、この成果を活用いたしまして他の地域の支援に取り組んでまいりたいと考えております。  次に、認証材の信頼性の確保と県民の皆様への意識づけについての御質問でございます。  森林認証では、第三者機関により厳格な区分管理等の審査が行われますが、当事者みずからが生産、加工、流通段階において適切に管理を行い、認証材以外の木材や製品の混入を防ぎ、認証材を確実に供給するという信頼性が非常に重要なことから、木材関係団体とともに関係者への指導を徹底してまいります。また、森林認証を受けた森林に限らず、適切な森林管理や再生可能な資源である木材の利用を進めることの意義については、広く県民の皆様に御理解いただくことが大変重要であると考えております。  このため、県といたしましては、これまでも各地で行います植樹祭や木育事業、公共施設の木造、木質化などを通じて普及啓発に取り組んできておりますが、今後、さらにホームページやブログなどさまざまな媒体を活用しPRするとともに、市町村や木材関係団体等の会議や研修会を通じまして、森林認証の取り組みを含め森林管理や木材利用の意義などの普及に努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔農政部長北原富裕君登壇〕 ◎農政部長(北原富裕 君)国際水準GAP実践拡大事業についての御質問にお答えいたします。  昨年12月に東京オリンピック・パラリンピック組織委員会が示しました農産物の食材調達基準案では、食品安全、環境保全、労働安全、この三つが確保されたグローバルGAPやJGAPなどの第三者によるGAP認証等が食材調達の要件とされ、国内でもGAPへの関心が急速に高まっております。  一方、本県においては、GAPはまだ生産現場に定着していない状況にあり、本県の特産であるレタス等の農産物を東京オリンピック・パラリンピックで使用していただくためには、一定の生産規模を持つJAや大規模生産者を対象にJGAP等の認証取得を推進する必要があります。このため、本事業において専門的なコンサルタント機関による研修などを実施し、GAP認証取得者の増加を図ることとしております。  本事業によりまして、東京オリンピック・パラリンピックへの食材供給を通じて県産農産物の国内外での評価を一層高めるとともに、輸出を含めた国際的な取引にも対応できることが期待されるところでありまして、今後一層のGAPへの取り組みを推進してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)森林認証に関連しまして、県産材の優位性のアピールと林業県の構築について御質問いただきました。森林認証に関連して私も大変考えさせられる御質問をいただいたなというふうに思っております。  今農政部長から御答弁申し上げましたけれども、先日、服部幸應さんとお話をしたときに、食の分野でも日本のグローバル化は非常におくれているのではないかというお話がありました。東京オリンピックを目がけて慌てて対応しなければいけないという状況になっているわけでありますけれども、この林業の分野についても同じような状況になってきているんじゃないかと思います。  林業白書を見ますと、主要国の森林認証面積は、日本は認証森林割合2%ということで、オーストリアが76%、フィンランド84%等々と比べると、極めて次元の違う水準にとどまっているということをまずは私どもはしっかり認識しなければいけないだろうというふうに思います。  そういう意味で、御質問いただいた点で申し上げれば、私ども長野県は、強度、品質で高い評価を得ているカラマツ、あるいは全国的に資源が減少し希少性が高まっているアカマツ、ブランドとして確立されている木曽ヒノキ、こうした地域ごとに優位性のある資源が存在しています。  ただ、御指摘のように、そうしたものをしっかり生かし切れているかというとまだまだ不十分だなと。知っている人は知っているけれども、知らない人は何も知らないという次元だろうというふうに思います。  そういう意味で、長野県は、この1次産業、農産物、それから森林資源が豊富な県でありますので、このブランド化、付加価値を高める取り組みというものをしっかりと行っていくということが重要だと思っております。  林業サイドでは、信州の木自給圏構築事業におきまして、地域ごとの強みを生かした付加価値の高い加工流通モデルづくりを進めていこうというふうに考えておりますので、そうした中でも、このブランド化というものもしっかり認識しながら取り組みを進める必要があると思いますし、また、カラマツの特徴を生かした新たな製品開発を林業総合センターで行っていますが、いいものさえつくればいいという発想が1次産業は特に強いと思いますけれども、つくるだけではなくて、やっぱりアピールするという視点もしっかり持って取り組みを進めていきたいと思います。  また、森林認証の活用につきましては、放っておくと日本、長野県はガラパゴス化しかねないという状況があります。世界市場を視野に入れて取り組みをしていく際には、特にこの森林認証の活用ということをしっかり位置づけて取り組んでいくことが重要だというふうに思っております。  いずれにしても、御指摘いただいたこの分野全体として、私どもはしっかりと認識を新たにして、長野県の持つこの木材の強みというものをどうしたら発信できるのか。どうすればより生かし、そして付加価値につなげていくことができるのかということを真剣に検討していきたいというふうに考えております。  以上です。       〔12番依田明善君登壇〕 ◆12番(依田明善 君)それぞれに御答弁をいただきました。  新たなる制度の導入に関しては最初が肝心だと思いますので、しっかりと戦略を立てながら推進をしていただければと思います。  森林認証制度はトレーサビリティー、つまり木材の生産から消費までの素性と流れの明確化が目的であります。しかしながら、我が日本においては、古来より森や樹木には神が宿るとして、恐れあがめながらなりわいを立ててきた歴史があります。  環境を考慮した森林計画のもと、違法伐採や森林の自然破壊等にも厳しい目が向けられている我が国にとっては、国内で流通している木材はあまねく間違いのない木材であって、今さら外国の団体から指図される必要はないといったプライドをお持ちの林業関係者も多いと思います。そして中には、森林認証は東京オリンピック開催までの一過性のものであり、積極的に取り組む必要はないといった考え方もあろうかと思います。  確かに、農林漁業を初め工業、土木建設業、サービス業に至るまで、国際規格、国際基準、国際標準、国際認証という名のもとで管理されてしまう傾向が強くなってまいりました。世界中の価値観を受け入れる、いわゆる国際感覚を持てない企業や人間はだめだといった風潮も強くなる一方ですが、それによって独自の国家や独自の文化が否定されていくようでは、それこそ重大な問題だと思います。  このところ、世界各国で保護主義が台頭してまいりましたが、その背景には、恐らくとどまることを知らないグローバル主義に対する反動があることも事実だと思います。しかしながら、木材に関して言うならば、我が国もこの森林認証から目を背けることはできないと思います。というよりも、さらにその上をいく森林施策を目指すべきではないでしょうか。  先日、垣内議員の代表質問の中で、直根を発達させた苗の育成を研究する人々を支援し、土砂崩落にも耐え得る強靱な防災林を育てるべきだとの提言がありました。私もかつて、地震による地盤の液状化を防ぐための丸太ぐいの打設研究を支援し推進すべきとの提言をさせていただきました。災害列島と言われている日本では、防災減災に対して森林の木材を活用する、こういった高度な研究に邁進している専門家の皆さんが少なからずいらっしゃいます。ぜひともそういった人々の努力が報われるような林業施策を進めていただければと思います。  異常気象等により自然災害に苦しむ国々は今後ますますふえていくことでしょう。その国々を救えるような技術やノウハウを発展させることができれば、日本独自の防災減災に特化した森林認証制度の確立も夢ではありません。  ぜひとも、他国から指図されるだけでなく、他国をリードするような真の林業県を目指していただきたい、そんなことを心からお願いを申し上げまして、一切の質問を終わります。ありがとうございました。 ○議長(向山公人 君)この際、午後1時まで休憩いたします。         午前11時38分休憩          ──────────────────         午後1時開議 ○副議長(下沢順一郎 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  埋橋茂人議員。       〔14番埋橋茂人君登壇〕 ◆14番(埋橋茂人 君)本日は、私は農業、畜産関係について、主として生産を支える種子、苗木、優良牛の確保や新技術とその維持、普及対策等の視点から順次質問いたします。  最初に、主要農作物種子法廃止の動きがございます。この動きを踏まえた県の役割について農政部長に伺います。  2週間前の2月10日、農業競争力強化支援法案、農業機械化促進法を廃止する等の法律案及び主要農作物種子法を廃止する法律案が閣議決定されました。政府は、これら3法案は、良質で低廉な農業資材の供給と農産物の流通、加工の合理化を実現するため、国が講ずべき施策や事業者の自主的な判断による事業再編等の取り組みを促進するための支援措置を講ずるとして、これら3法案により農業の競争力の強化がさらに促進されるものとして今国会で成立を期すとしております。  主要農作物とは、稲、大麦、裸麦、小麦及び大豆、すなわち主食や重要なたんぱく源となる穀物のことですが、私はこの主要農作物種子法の廃止に強い懸念を持っております。また、農業者やJAからも心配の声が私のところに聞こえてきております。  廃止予定法案の7条の1項において、原種及び原原種の生産について、「都道府県は、主要農作物の原種ほ及び原原種ほの設置等により、指定種子生産ほ場において主要農作物の優良な種子の生産を行うために必要な主要農作物の原種及び当該原種の生産を行うために必要な主要農作物の原原種の確保が図られるよう主要農作物の原種及び原原種の生産を行わなければならない。」、また、8条において、優良な品種を決定するための試験について、「都道府県は、当該都道府県に普及すべき主要農作物の優良な品種を決定するため必要な試験を行わなければならない。」とされています。  長野県は、稲、麦、大豆の品種開発について長い歴史と実績を持ち、主要農作物に係る長野県農業を支えてきました。園芸作物を含めた関係者の長い間の地道で気の遠くなるような御努力に感謝し、深く敬意を表するところでございます。  例えば、水稲の主食、ウルチ米では、しなのこがね、ながのほまれ、最近では風さやか、酒米では美山錦、金紋錦、ひとごこち、モチ米ではもちひかりなどです。また、大麦では、全国でも非常に評価の高いファイバースノウ、シュンライ、小麦では麺用のシラネコムギ、しゅんようの2品種を主体として、低アミロース性のユメセイキ、中華麺への加工適性が高い硬質小麦ハナマンテン、パンの加工適性が高い硬質小麦ゆめかおりなどです。大豆では、主に煮豆用のタチナガハ、主に豆腐用のナカセンナリ、ギンレイ、エンレイ、最近では、主に煮豆、みそ用のつぶほまれ、主に納豆用のすずこまち等ですが、ナカセンナリ、エンレイなど全国に誇る品種も多くあります。  一方で、主要農作物の対象となっていないトウモロコシについては、米国の種子会社が開発したF1、一代雑種の天下となっております。御承知のとおり、このF1雑種をまいても、子はメンデルの法則でF1の形質は遺伝されません。当然日本国内で採種はできず、米国に莫大な利益がもたらされています。トウモロコシ、大豆等、遺伝子組みかえ品種も少なくありません。  また、かつて「緑の革命」と称され、小麦の収穫量を飛躍的に増大させ世界の飢餓対策に多大な貢献をしたメキシコ小麦の品種開発には、日本の小麦、農林10号が用いられたことは有名な話です。この開発に努め、緑の革命に大きく貢献したとして、米国の農学者ボーローグ博士は1970年にノーベル平和賞を受賞しています。受賞理由は、歴史上どの人物より多くの命を救った人物ということでした。フィリピンの国際稲研究所、イリの稲の雄性不稔の多収穫品種の開発にも日本人が多大な貢献をしたことも含めて、世界の食料増産に日本は大きな貢献をしています。  しかし、この多収穫小麦や稲の開発に当たったのは、米国のロックフェラー財団やフォード財団が設立した機関です。このように、種子はまさに国家戦略物資そのものであり、食料の安全保障、安定生産のためには、遺伝資源の確保や維持することが極めて肝要で、この法律は廃止すべきではなく、むしろ対象を拡大すべきだと思うところであります。  種子を他国や多国籍企業に握られれば、農業競争力強化どころではありません。たとえ廃止になって民間企業の参入後も、主要穀物の品種開発と原種及び原原種の生産と採種圃における圃場審査、生産物審査は県が行っていくべきだと思います。  南北に長く、広く、かつ標高差の大きい県土に対応した、まさに県民の財産であります地域ごとの適性品種を開発、維持していくのは長野県の役割ではないかと思います。主要農作物種子法の廃止の動きを受け、長野県として主要穀物の品種開発と原原種、原種生産と採種圃における圃場審査、生産物審査等種子の安定供給についてどのような方針で臨むのかお聞かせいただきたいと思います。農政部長に伺います。       〔農政部長北原富裕君登壇〕 ◎農政部長(北原富裕 君)主要農作物種子法廃止の動きを踏まえた県の対応についての御質問でございますが、米、麦、大豆等の主要農作物は最も基礎的な食料であり、生産安定のためには良質な種子を安定的に供給していくことが極めて重要であります。  このため、長野県においては、昭和62年に県、JAグループ、市町村等との出資によりまして種子の生産と供給を担う長野県原種センターを設立し、県内の主要穀物や県試験場が育成した品種の安定供給に取り組んでいるところでございます。  この結果、例えば出荷される米においては、毎年の種子更新率がほぼ100%となっており、このことが1等米比率全国一となるなど、高品質で安定した生産につながっているものと認識しております。  国では、主要農作物種子法が仮に廃止された場合でも、米、麦、大豆の種子の安定供給はしっかり行うとしておりますので、県といたしましては、今後の動向について情報収集に努めますけれども、引き続き原種センター、JAグループ等と連携し、種子の安定供給、これはしっかりと図ってまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。       〔14番埋橋茂人君登壇〕 ◆14番(埋橋茂人 君)お答えをいただきました。大変大切な最重要の部分でございますので、ぜひ公として維持をしていただくようにお願いして、次の質問に移ります。  生産者の高齢化、温暖化の進行、中山間地の多い立地条件等から、品種開発や新技術の重要性が増しています。現状と県の対応について、主として果実、野菜等について伺います。  諏訪議員も代表質問で触れられ、私も昨年の2月定例会で質問いたしましたが、県のオリジナル品種の大変高い人気に支えられて果樹農家が元気になってきています。県初め関係者の御尽力に感謝申し上げるところです。  そこで、1年たちましたので、改めて伺います。  リンゴのシナノスイート、シナノゴールド、秋映や、梨のサンセーキ、幸水、豊水、南水、ことし大変ブームにもなったブドウのシャインマスカット、ナガノパープル等、信州にはオリジナル品種を中心にすぐれた果物が多くあります。また、ワイン用ブドウの需要量も急増しています。リンゴの新矮化栽培等の果樹の新栽培技術の普及状況と今後の見通し、普及拡大のための苗木の生産、供給体制の現状とこれからの方針を伺います。同様に、野菜の品種開発、育種・育苗、供給についても、現状とこれからの方針を伺います。  続いて、優良肉牛の生産振興についてお尋ねします。  信州プレミアム牛肉は県内において高い評価を得ていますし、関西市場でも大変な評判でございます。県のあずかるところが大きく、肥育農家から非常に高く評価されています。また、認定頭数は、平成22年の844頭から平成27年には3,242頭と4倍近くまで増加しており、生産者の大きな励みになっているところです。  しかし、その一方で、プレミアム牛肉が県内実需者から希望量が入手困難でせっかくの販売好機を逃しているとの声も少なからず聞いております。地消地産の面からも課題となっていると考えるところです。  もと牛の価格高騰と円安による飼料高騰で肥育農家の経営収支は厳しくなっており、優良系統の和牛肥育によりそれをカバーしようと肥育農家は努力していますが、その大きな柱である信州プレミアム牛肉の拡大策と県内供給増対策を伺います。  また、県と一般社団法人家畜改良事業団の双方の強みを生かして、極めて能力の高い雌の繁殖牛の作出が方針化されていますが、現況と今後の見通しをお聞かせ願います。  農業関係では、最後に輸出振興について伺います。  現行の農産物輸出3億円を5億円に拡大する方針について、具体的な品目、対象国をどのように考えているかお聞かせください。先般私も、知事、議長や多くの経済人、農業関係者の皆さんと一緒にベトナムを訪問してまいりましたが、農産物の輸出市場としては長い取り組みが必要だと痛感した次第であります。輸出に関してはどのような機関を利用するのか、お考えをあわせてお伺いします。  また、リンゴの主要輸出先でありました台湾への輸出が激減しておりますが、その原因と回復策を伺います。       〔農政部長北原富裕君登壇〕 ◎農政部長(北原富裕 君)大きく4点の御質問に順次お答えを申し上げます。  初めに、果樹の新栽培技術についてですが、生産者の高齢化や樹園地の老朽化が進む中、本県果樹の生産力を維持していくためには、新品種等への更新にあわせ、早期に収量が上がる、高品質で均質な果実が生産できる、また、省力的で作業がマニュアル化できるなどの栽培技術を導入することが重要と考えております。  このような技術としては、リンゴでは新矮化栽培がございます。平成27年度の面積230ヘクタールを平成37年度には1,000ヘクタールまで増加させる目標としております。現在、苗木不足が面積拡大のネックとなっておりますので、苗木増産に向けた産地の取り組みを支援する事業を来年度から実施し、現在の年間10万本の苗木生産量を平成30年には倍の20万本に引き上げ、新矮化栽培面積の拡大を推進したいと考えております。  また、ブドウでの新栽培技術としては、平行整枝短梢剪定栽培がございます。シャインマスカットやナガノパープルなどの新品種において、この栽培技術100%の導入を推進しまして面積の拡大を図ってまいりたいと考えております。  次に、野菜の品種開発についてですが、野菜花き試験場では、これまで、根腐れ病に強いレタスや夏秋イチゴ、機能性成分含量の高いケールなどの新品種を開発し、産地の栽培上の課題の解決や新たな産地育成に貢献してまいりました。  今後も、病気に強く高品質な品種や地球温暖化に対応した品種、また、新たな需要を創出する品種など、野菜産地の発展、農業者の所得向上につながる品種の開発を進めてまいります。また、県が育成した品種は、原種センターを通じて生産者に種苗供給をしておりまして、同センターと連携し、地域のニーズに応じた安定供給に努めてまいります。  次に、信州プレミアム牛肉についてですが、信州プレミアム牛肉の本年度の認定頭数は1月末時点で3,065頭と、前年同期に比べ11%増加しておりますが、平成29年度目標の3,700頭を達成するためにはさらなる生産の拡大が必要と認識をしております。このため、家畜保健衛生所による衛生管理指導等を通じて、認定の前提となります信州あんしん農産物生産認定農場をふやしてまいりたいと考えております。  また、出荷牛の認定率向上に向けては、家畜保健衛生所、農業改良普及センター、JAが連携し、発育に応じた飼料の適正給与などの飼養管理の改善を指導してまいります。  これらの取り組みによりまして、信州プレミアム牛肉の認定頭数を拡大し、県内需要に応えてまいりたいと考えております。  また、能力が高い繁殖雌牛の作出につきましては、県では、高品質な和牛を生産するため、県内畜産農家が保有する雌牛の中から遺伝的能力が高いスペシャル繁殖牛をリスト化し、活用する取り組みを進めております。  今回、家畜改良事業団と連携し、今までの取り組みのスピードアップが図れる技術、具体的にはDNA情報から遺伝的能力を推定するゲノミック評価技術を用いまして、よりすぐれた繁殖雌牛を選抜し、事業団が持つ種雄牛と交配することで、極めて能力が高い繁殖雌牛を早期に作出してまいりたいと考えております。この取り組みによりまして作出された繁殖牛を活用して、信州プレミアム牛肉の生産拡大を図り、畜産農家の所得の向上に貢献してまいりたいと考えております。  最後に、農産物輸出の拡大方針等についてでございますが、農産物輸出については、来年度に5億円を超えることを達成目標としておりまして、そのために、シンガポール、香港、台湾、タイなどを重点対象国とし、ブドウ、リンゴ、桃、梨などの果物を中心として輸出拡大を進めることとしております。  このため、重点対象国での長野フェアの開催、有望バイヤーを招聘しての産地見学会や商談会を行うとともに、現地において販路開拓のサポートを行う輸出支援員を、シンガポールに加え、新たに香港へ設置してまいりたいと考えております。  また、長野県農産物等輸出事業者協議会の会員であります卸売業者や生産者、JAなどと相手国の有望バイヤーとをマッチングしまして、商業ベースでの輸出拡大を図ってまいります。  なお、台湾への輸出につきましては、リンゴ等に対する植物防疫の規制が強化されたことなどによりまして平成21年産から激減したところですが、最近は人気の高いシャインマスカットなどの輸出が伸びていることから、来年度は台北市などにおきまして果物フェアを開催し、果実全体の輸出拡大につなげる予定としております。  以上でございます。       〔14番埋橋茂人君登壇〕 ◆14番(埋橋茂人 君)県民の期待も非常に大きいところでありますので、引き続き御尽力のほどをお願いします。  続いて、医療、介護、福祉について健康福祉部長に伺います。  浜議員も触れられましたが、地域間格差の解消に向けて、平成29年度事業において一定の改善策が示されていますが、高齢化、過疎化の進行の中で医療圏の改編等を検討しているのか伺います。  現在検討されている平成30年診療報酬改定、介護報酬改定では、在宅復帰率の見直し等で、従来の急性期、回復期、慢性期病院では存続できず、介護・住宅系施設への経営転換が行われることが予測されます。  これは、従来の介護福祉施設利用者と対象が重なり、地域によっては介護施設が淘汰されるリスクを含んでいると思います。長野県では、特に農山村地域における医療と介護施設のバランスのよい配置が必要だと思いますが、県の見解と方針を伺います。  続いて、介護人材養成確保に関する課題です。  国は、団塊の世代が75歳以上になる2025年問題に向けて、全国で約37万人、長野県でも約8,000人の介護人材の不足が見込まれるとしており、介護人材の養成確保が急務となっており、さまざまな方針を打ち出しています。  その中の一つとして、介護職を二つに分け、A、専門性の高い介護福祉士の養成、B、介護助手制度を導入し生活支援業務を中心とした介護職の養成を図ろうとしています。導入理由として、現在の介護福祉士資格は比較的安易に取得が可能で、介護の質に対してさまざまな課題があり、また、このことが給与水準が上がらない理由の一つとして捉えていると思われます。  今申し上げた専門性の高い介護職員、すなわち介護福祉士とは、専門教育(大学、短大、専門学校)を受けた方や、専門的な研修を受講し修了した方しか受験資格が与えられない仕組みとなっております。  しかし、県内の介護福祉士養成コースがある短期大学等は定員の50%程度しか学生が集まらない状況で、学校名は挙げませんが、既に定員を減らす動きをしている短大も出ております。
     このような状況を鑑みれば、長野県の高齢者介護の担い手育成、すなわち専門性の高い介護福祉士を担当する短期大学等への県の支援が必要ではないかと思いますが、いかがですか。  医療とあわせ、介護保険事業を展開している病院の医療福祉センターに現状を確認したところ、その病院では、医療病棟に高齢者が多く入院し、治療目的の看護にあわせ、身体支援等を行う介護のニーズがふえている。二つとして、一方で在院日数の制約から医療依存度の高い利用者が介護福祉施設に転院し、看護師の少ない施設では対応に苦慮しているとのことでありました。  長寿県長野として、今後さらなる健康長寿県を目指すためにも対応すべき分野でないかと思いますが、県の見解を伺います。  最後に、地域包括ケアシステム関係であります。  今申し上げた報酬改定とあわせて、地域包括ケアシステムは、地域連携から地域統合への流れが加速すると思われます。具体的には、本年4月から認められる地域医療連携推進法人ですが、この組織に県としてどんな機能や役割を求めていくのか伺います。       〔健康福祉部長山本英紀君登壇〕 ◎健康福祉部長(山本英紀 君)医療、介護、福祉についての御質問に順次回答させていただきます。  医療圏については、国が示す医療計画作成指針に基づき都道府県が策定する保健医療計画の中に定めることとなっております。現在、次期保健医療計画の策定に向け、国において検討会を設置し、作成指針の見直しを行っているところですが、検討会では、2次医療圏の設定に関して、人口規模、患者の受療動向など将来の要素を考慮しながら検討する必要があること、地域医療構想の構想区域と2次医療圏を一致させることなどが議論されているところです。  今後の医療圏の設定については、国の作成指針に基づき、患者の受療動向の情報を初め医療圏の面積、基幹病院までのアクセス等、病院の実情を十分に考慮し、地域の意見もお聞きしながら次期保健医療計画策定の中で検討してまいります。  医療機関と介護施設の配置については、これまでも病院の再編にあわせた特別養護老人ホームの移転整備や農山村地域での診療所、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設の一体的整備など、地域の実情に合わせて医療と介護の整合性を図った施設整備が行われてまいりました。  今後は、高齢社会の進展に伴い、より一層医療と介護サービスの総合的な確保が求められることから、県では平成30年度がともに初年度となる第7次長野県保健医療計画と第7期長野県高齢者プランの策定に向け、検討会議を合同で開催するとともに、全市町村と行う予定の高齢者プランの策定に係るヒアリングにおいても、各圏域ごとの将来の必要病床数の推計結果や病床整備の取り組み状況を共有した上で意見交換を行ってまいります。  こうした取り組みを通じて、これまで以上に医療と介護との整合性を図り、農山村地域を含め、地域の実情を反映した計画づくり、施設整備に取り組んでまいります。  介護福祉士養成校への支援についてのお尋ねがございました。  介護福祉士養成校の入学者数は近年減少傾向にあり、将来の介護の担い手である専門性の高い介護福祉士を育成確保していく上で、養成校の入学者数の増加は重要な課題と認識しております。  県では、平成27年度から各養成校が開催するオープンキャンパスや高校生向けの啓発冊子の作成などのPR費用を助成する介護の次世代育成促進事業を実施し、入学者数の増加に向けた取り組みを支援しているところでございます。また、介護福祉士を目指す学生に対して、5年間県内の介護職場で就労することを条件にその返還を免除する修学資金の貸与事業につきましても、対象者を、これまでの40人程度から平成28年度にはほぼ希望者全員に当たる80人程度へ拡大し、進学しやすい環境を整えているところでございます。  加えて、県教育委員会と連携し、毎年、高校の進路指導担当教員が参集するキャリア教育担当研究協議会において、介護の仕事の意義や魅力を説明するとともに、県内介護福祉士養成校の紹介を行い、生徒の進路の選択肢としていただくよう直接お願いをしているところです。今後も、関係機関等と連携し、将来を担う介護福祉士の確保に努めてまいります。  医療機関と介護施設における療養環境に関するお尋ねについては、議員御指摘のとおり、現在の医療機関、介護施設の人員配置や構成と、実際に入院、入所されている方が必要とする医療・介護サービスにはさまざまな課題があると認識しております。  例えば、平成27年度に県で実施した療養病床に入院中の患者の実態調査によると、病状が安定しており医学的に退院可能な患者が60%程度という状況にあり、現在、国において、患者が退院後も療養生活を継続できるよう、介護療養病床や医療療養病床の一部を新たな介護施設とする検討がなされているところであります。  また、急性期病床が過剰である一方で、比較的病状が落ち着いている方を受け入れる回復期病床が不足しているとともに、医療的ケアを必要とする要介護者の増加が見込まれるため、介護施設において医療的ケアを提供するための看護職員、介護職員の確保が重要となっております。  これらの状況を踏まえ、県では、地域医療介護総合確保基金を活用し、急性期病床から回復期病床への転換など患者の病状に応じた病床の整備を行うとともに、ナースバンクなどによる看護師を必要とする介護施設と就職を希望する看護師とのマッチングや、喀たん吸引等研修会による医療的ケアの可能な介護職員の増員支援により介護施設における医療的ケアの提供体制の充実を支援しているところであります。引き続き、高齢社会に対応した医療、介護の提供体制の充実に取り組んでまいります。  地域医療連携推進法人の機能、役割についてのお尋ねがございました。  地域の医療機関相互の機能分担、連携を推進し、質の高い医療を効率的に提供するため、平成29年4月から、複数の病院や診療所、介護事業所などが参画する法人を地域医療連携推進法人として都道府県知事が認定できることになっております。  連携法人になった場合には、病床過剰地域であっても、病院間の病床の融通が可能となるとともに、患者の病状に応じた紹介、逆紹介の円滑化や、医薬品や高額医療機器の共同購入などによる経営の効率化、安定化などのメリットがあると考えられます。  したがいまして、連携法人は、地域の実情に応じた効率的な医療、介護の提供体制を構築していくための一つの選択肢となると考えられることから、県としてはこの制度の周知を図るとともに、法人設立を検討する地域の関係者から連携法人について相談があった場合には、法人の設立に向け、適切に対応してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔14番埋橋茂人君登壇〕 ◆14番(埋橋茂人 君)高齢化が進行する中で喫緊の課題だと思いますので、よろしくお取り組みのほどをお願いいたします。  続いて、格差問題について質問いたします。産業労働部長に伺います。  小島議員や毛利議員が代表質問でも触れられていましたが、新規求人に占める正社員割合が全国より低く、最下位から2番目とか3番目ですが、産業構造等に起因するのか、ほかに相関関係にあるものがあるのか、この原因、要因をどう分析しているのか伺います。  あわせて、有効求人倍率が改善される中で、この時期を捉えて対策を講ずべきと考えますが、正規雇用の拡大策とその実績を伺います。また、非正規雇用者が働きながらスキルアップすることは容易ではありません。県として具体的な対策をお考えか伺います。  続いて、県民文化部長に2点伺います。  子供の貧困は本人に責任のない問題であり、政治が対応すべき課題と思います。信州こどもカフェにおけるプラットフォームづくりについて十分な予算措置と早期対応が必要と考えます。今年度事業実施している松本市、飯田市におけるモデル事業は、PDCAサイクルのD、ドゥーが終わり、C、チェックを経て、これからA、アクションに移るところであり、この2市の事業は継続すべきものだと思いますが、見解を伺います。  また、あわせまして、先日NHKスペシャルで放送されましたが、普通の状況なら参加できる行事等への参加機会が貧困ゆえ剥奪されている機会剥奪への対応が必要だと考えますが、見解はいかがですか。       〔産業政策監兼産業労働部長石原秀樹君登壇〕 ◎産業政策監兼産業労働部長(石原秀樹 君)非正規の雇用対策についての御質問です。  御指摘のとおり、長野県の新規求人数に占める正社員の割合は、以前は全国平均と同じ水準でしたが、リーマンショック以降、30%台まで低下しております。  その要因といたしましては、県内にはスキー場やゴルフ場など季節的求人が多いこと、経済の先行きに不安があることから一時的な受注増加には臨時的な求人で対応していることなどが考えられます。  そこで、県では、正規雇用の拡大を図るため、長野労働局と連携して、県内企業に対しまして正社員の採用や非正規社員の正社員化に向けた働きかけを行ってまいりました。また、未就業や不本意ながら非正規で就労している若者などに対しましては、座学と職場実習を組み合わせた研修により、これまでに約300人を正規雇用に結びつけたところでございます。  また、非正規社員のスキルアップの対策といたしましては、技術専門校の在職者向けの技能習得支援講座を活用して現在進めており、27年度は非正規雇用の方約50人が受講いたしました。  なお、国におきましても、キャリアアップ助成金によりまして非正規労働者に職業訓練を実施した企業に財政的な支援を行っておりますので、このような制度も活用し、今後も非正規労働者が職業訓練を受けられる機会の拡大を図ってまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔県民文化部長青木弘君登壇〕 ◎県民文化部長(青木弘 君)まず1点目の信州こどもカフェのモデル事業についてのお尋ねでございます。  この事業を実施したことで、子供たちからは、集中して勉強ができるようになった、またスタッフからは、子供たちの表情が大変穏やかになった、また、親が朝食をつくるようになったなど、子供たちや保護者に目に見える変化があるといった声が寄せられてございます。大きな効果がある事業だというふうに認識をしているところでございます。  こうした成果を踏まえまして、この事業を継続していただくため、県では、松本市と飯田市に対しまして、国のひとり親家庭支援の補助事業でございますとか地域発元気づくり支援金の活用もお示ししながら、これまで丁寧に協議を重ねてきたところでございます。  その結果、松本市におきましては、市内での複数設置を前提にいたしまして、新たに市単独事業といたしまして子供の居場所づくりを地域で進める交付金事業を創設すること、また飯田市では、県も負担する中で、国の補助を活用した事業として実施するなど、両市ともにこどもカフェの意義や有効性を御理解をいただきまして、しっかりと継続をしていただくことになったところでございます。  一方、モデル事業では、実際にカフェを運営している方々からは、担い手の確保や育成、子育て支援のNPO等のネットワークづくりの必要性が課題として指摘を受けております。それに対する県の支援についても強く要望されているところでございます。このため、平成29年度は、地域振興局の体制を整備する中で、市町村、NPO等から構成されます地域プラットフォームを10広域で構築、運営してまいりたいと考えてございます。  子供の居場所づくりの取り組みが今後も進みますよう、市町村等と十分連携を図りながら県としての役割をしっかりと果たしてまいりたいというふうに考えております。  機会剥奪というお尋ねでございます。  子供が楽しみにしております遠足、修学旅行といった学校行事への参加や、あるいは高等教育機関での修学などについて、経済的な理由によりましてその機会が奪われている現実があるということは御指摘のとおりでございます。  本県では、これまで国に先駆けまして給付型奨学金を創設し、低所得世帯や児童養護施設に入所しています子供の大学等への就学を支援いたしますとともに、低所得世帯の高校生等の保護者に修学旅行や部活動に係る費用等を支給する奨学給付金を拡充し、生徒がさまざまな活動に参加できるよう支援をしてまいりました。  また、児童養護施設の設置者等が実施いたします自然科学体験に係る費用を助成することによりまして、児童養護施設入所児童等が多様な体験の機会を得られるよう応援をしているところでございます。  毛利議員の代表質問でもお答えしましたとおり、来年度は、こうしたいわゆる剥奪の状況も含めまして詳細な実態調査を実施させていただきますので、その調査結果も踏まえまして、必要な対策を検討し、来年度策定を予定しております子供の貧困対策を含む子供・若者支援に関する総合的な計画に盛り込んでまいりたいというふうに考えているところでございます。  以上でございます。       〔14番埋橋茂人君登壇〕 ◆14番(埋橋茂人 君)前向きなお答えをいただきましたので、ぜひよろしくお願いします。  事実上事業を継続する飯田市、松本市と連携して課題や運営方法を共有し、今後の10圏域でつくるプラットフォームづくりに生かしていただきたいことを要望します。また、新たに設けられる地域振興局のまさに出番であり、大いに期待申し上げ、次に移ります。  続いて、健康福祉部長に伺います。  近年、かつて貧しさの指標でありましたエンゲル係数が上昇に転じているとのことですが、ひとり暮らしや共働きの増加で、中食や総菜品の購入がふえていることが主たる原因とのことでありました。  このことをもって新しい食の貧困が起きているということは一概には言えませんが、貧困対策として、食の確保だけでなく、孤食、ひとり食事の解消等、多方面から食のあり方を検討し、具体的な実施体制をつくることが重要であることを示していると思います。  NPOやライオンズクラブ、生協、労組、JAグループなどでフードバンクやフードドライブ等の動きが活発になっています。公の関与をできるだけ少なくして取り組みが行われていますが、集積場所の提供や輸送費、通信費等の運営費、間接コストに対して助成する仕組みを検討すべきではないかと考えるが、いかがでありますか。  最後に、建設部長に伺います。  民間の空き家、空き室を利用して、低額所得者、高齢者、子育て世帯等の住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録制度を創設する等、住宅セーフティーネットの機能を強化するための住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律の一部を改正する法律案が国会に提出されました。  このように、低所得者に対して住宅確保という側面からサポートする施策を国としても進めていますが、今後の公共住宅のあり方とも密接に関連するこのような動きに対する県の考え方を示していただきたいと思います。       〔健康福祉部長山本英紀君登壇〕 ◎健康福祉部長(山本英紀 君)フードバンクや、そのための食料を場所と時間を決めて市民に呼びかけて集めるフードドライブについては、県内各地の民間団体や市町村等で実施されるとともに、県でも特定非営利活動法人フードバンク信州や信州こども食堂ネットワークといった民間の支援団体と協働し、12月8日、9日に県庁で、1月23日には松本合同庁舎でフードドライブを実施いたしました。多くの食品等を支援団体を通して必要としている人に届けることができ、また県民にフードバンクの取り組みについて発信することができたと考えております。  フードバンクの運営は、企業や個人からの寄附や団体からの助成金、社会福祉法人の社会貢献事業等を利用して民間の団体等により主体的に取り組まれております。県としては、こういった活動を応援するため、フードドライブの会場として県庁舎を提供するとともに、フードバンクの活動について多くの方に知っていただき、食料提供や事業費の寄附といった支援の輪が広がっていくよう県民への広報を行うなど、活動しやすい環境づくりを行ってまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔建設部長奥村康博君登壇〕 ◎建設部長(奥村康博 君)住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律の改正によります新たな制度への対応に関するお尋ねでございます。  改正法案による新たな制度におきまして、県は、民間の空き家、空き室を住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅として登録し、情報を開示するほか、社会福祉法人等を家賃債務保証などの居住支援活動を行う法人として指定するなどの役割が想定されております。  また、県及び市町村は、入居対象者の収入の状況や家賃の額等が一定の条件を満たす場合に、登録住宅の改修や入居負担軽減のための経済的な支援を行うことができることとされております。  入居支援の体制づくりのためには、入居希望者、住宅所有者双方のニーズの把握が不可欠でございまして、県、市町村の住宅部局や福祉部局に加え、不動産関係団体などとの役割の整理が求められるところでございます。  県といたしましては、法案が国会へ提出されたばかりの状況でございまして、制度の詳細について情報収集を進め、市町村や不動産関係団体などとともに、さまざまな課題の整理も含め支援のあり方について検討してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔14番埋橋茂人君登壇〕 ◆14番(埋橋茂人 君)貧困問題は多岐にわたる要因を持ち、解決が一朝一夕にできるものではありませんが、貧困が連鎖しないよう、さまざまな対策を重層的に組み合わせ、改善に向けて取り組みを加速化することを要望して私の一切の質問を終わります。ありがとうございました。 ○副議長(下沢順一郎 君)次に、藤岡義英議員。       〔16番藤岡義英君登壇〕 ◆16番(藤岡義英 君)藤岡義英、質問いたします。まず、県民の住環境支援について質問いたします。  健康で文化的な生活を営むために衣食住を充実させることは欠かせません。特に、快適な住まいに生活し続けることは県民の当然の要求であります。しかし、90年代以降は、経済の低迷が続く中で雇用と所得が不安定化し、非正規雇用や格差の拡大が進みました。特に若い世代に大きく影響し、親からの自立の困難、晩婚化や非婚化、低出生率、貧困の増大が顕著となっています。また、時代とともに住宅の市場化が進む中で、県営住宅など公的住宅のストックは減少傾向にあり、低所得の若者が収入に見合った住まいを確保することが困難となっています。  年齢、性別を問わず、どんな生き方を選択しても最低限の住宅を確保できる生き方の自由を保障する、基本的人権としての住まいを保障することを基本とした住宅政策が求められています。県は、県営住宅を含む住宅サービスのニーズ増加に対し、状況をどう捉え、県民の住生活支援をどのように検討されておられるでしょうか。建設部長にお聞きいたします。  県営住宅では、十分な断熱が備わっていなかったり、材質がすぐ冷めてしまうような風呂しかない住戸がまだ多数残されています。新年度予算案では、県営住宅バスリフォーム事業約3億7,000万円を盛り込み、6団地213戸にユニットバス等を設置し、入居者の負担軽減と居住環境の改善及び建物の長寿命化を図るとしています。  この事業は歓迎するものでありますが、この予算ペースでいきますと、完了までに7年、8年はかかるのではと心配しております。というのも、コンクリートの内壁、追いだき機能なし、風呂場の入り口に高い段差等の状況は、高齢者や障害者、介護が必要な方にとって非常に厳しい環境となっております。  高齢者、障害者対応の県営住宅は数に限りがございます。冬は寒さが追い打ちをかけ、日中の暖かいときにしか入浴できないということもあるそうです。一刻も早く解決を求めたいと思います。対応の前倒しを求めたいと思いますがいかがでしょうか。建設部長にお聞きいたします。  御代田町には、県営住宅平和台団地がございます。ここは、平成10年度までに2棟50戸が建築されています。しかし、建設予定だった残りの5棟70戸は事業中止となり、建設予定地だった団地は、現在、更地のまま未利用地となっています。  御代田町は、この更地を県から買い取り、宅地として利活用することにより、人口の社会増、移住促進を目指していきたいとしています。現在の町との協議状況はどうなっているでしょうか。また、御代田町の取り組みを生かせるように、移管の手続はどう進めていくのでしょうか。建設部長にお聞きいたします。       〔建設部長奥村康博君登壇〕 ◎建設部長(奥村康博 君)いただきました御質問3問につきまして順次お答え申し上げます。まず、県民の住宅ニーズについてのお尋ねでございます。  昨年度実施いたしました住まいに関する県民アンケートによれば、自宅は持ち家がよいという方が約8割で持ち家志向が高い傾向が見られますが、特にこだわらないという方が5年前と比べてやや増加傾向にございます。  また、取得する住宅は新築住宅がよいという方が約3分の2を占めますが、中古住宅がよい、または特にこだわらないとのお考えをお持ちの方も多く見られ、新築を含めた全流通戸数に対する中古住宅の割合は5年間で2.5ポイント上昇し、11.4%となっております。このように、市場やライフスタイルの変化を背景に居住ニーズが多様化していることから、ニーズに応じた住宅を選択できる環境の整備が重要だと考えております。  一方で、住宅市場の中で、独力では適切な住宅を確保することが困難な低額所得者などの住宅確保要配慮者に対しましては、公営住宅の公平かつ的確な供給が求められております。誰もが安定した居住を確保できる環境を目指しまして、県では、長野県住生活基本計画や長野県県営住宅プラン2016を策定しており、引き続き低額所得者などに配慮した県営住宅の改善と活用を進めてまいります。  次に、県営住宅の浴室の環境改善に関するお尋ねでございます。  県営住宅プラン2016に基づき今後も継続して管理する中高層住宅約9,000戸のうち、昭和50年代前半以前に建設した入浴設備が設置されていない約2,600戸について、断熱性、防水性の高いユニットバス等の設置を進めているところでございます。  平成26年度から開始し、来年度末までに817戸、おおむね3割程度の設置を終える予定でございます。一方、老朽化が進む建物を適切に維持管理し長寿命化を図るためには、給排水管の更新、屋根の防水、外壁の断熱などの改修を行う必要もございます。  限られた財源の中で、これら県営住宅の長寿命化を図る計画的な改修や修繕も実施しながらユニットバス等の設置による浴室の環境改善を着実に進め、入居者の居住環境の向上に努めてまいりたいと考えております。  次に、県営住宅団地の未利用地の活用に関するお尋ねでございます。  御代田町にございます県営住宅平和台団地の建てかえ事業計画変更に伴う未利用敷地につきましては、現在、県ファシリティマネジメント基本方針や県営住宅プランに基づき、その有効活用が図られるよう検討を進めているところでございます。  未利用県有地の有効活用の方針として、再活用は県や市町村等において公共的に活用することを優先して検討するとされているところでございまして、また御代田町の地域振興や住環境整備の取り組みとして未利用地を取得したいという意向もお聞きしているところでございます。  県としましては、これらを踏まえまして、ファシリティマネジメント推進会議における検討などの手続を順次進め、活用方針を決定してまいりたいと考えております。
     以上でございます。       〔16番藤岡義英君登壇〕 ◆16番(藤岡義英 君)バスリフォームは1年でも早く、一刻も早くというのが居住者の切実な願いです。住環境の改善にとどまらず、居住者の心と体の健康に寄与するものだと確信いたします。前倒しの検討を重ねてお願いいたします。  また、御代田町の取り組みにつきましてはぜひ丁寧かつ迅速に対応していただき、支援を強めていただきたいと思います。また、ほかの市町村の人口増、移住促進のための住宅政策に対してもぜひ御支援いただきますようお願いいたしまして、次の質問に移ります。  小学校における学校給食への支援について質問いたします。  子供の貧困、家庭教育への支援、子供の居場所づくりなどの課題が叫ばれる中、県は昨年7月に子どもの居場所づくりモデル事業を開始いたしました。先ほど県民文化部長も答弁されておられましたが、新年度からはそれぞれの市がその事業を受け継ぎ、その取り組みに県が支援すると聞いております。  子供の食事に注目し支援していくことは大変重要だと考えております。こども食堂は、月に1度、2度の支援を実施しているとのことですが、毎日の食に対する支援はさらに重要な課題だと感じております。そこで、学校給食への支援について質問させていただきます。  県内では、既に市町村で学校給食への支援が行われています。給食費の全額補助は平谷村と売木村と王滝村の3村、お米代を全額補助しているところもあります。牛乳代や米粉パン代への補助を出しているところも、給食での地元食材の利用率を上げるために補助を出している市町村も多いようです。  一方、長野県民新聞で文科省の学校給食実施状況調査に見る本県の状況との記事が掲載されていました。長野県の小中学校の給食実施回数は全国でも最も多く、それに伴い、年額給食費も都道府県で一番高く、さらに1食当たりの給食費も全国で4番目に高いことが明らかになったと。また、小学校中学年の月額5,039円は全国平均を733円上回り全国の最高額、5,000円を超えるのは本県のみという状況などと報じられています。  市町村での給食費への支援は大変喜ばれています。一方で、自治体による格差が広がっている現実もあります。これまで県は、食材は自己負担としてきましたが、その立場を見直していただき、全県にこうした学校給食への支援が広がるよう市町村の取り組みを支援すべきと考えますが、いかがでしょうか。教育長にお聞きいたします。  学校給食への支援について、県は以前、地域食材の日ということで、県産食材をおおむね100%使用した郷土食などを取り入れた学校給食について1食60円の補助を出すという取り組みを実施しておられました。今回の予算案で、信州産食材地消地産推進事業として、地元食材を学校給食に活用することを促進する取り組みを検討されていると聞きました。ぜひその事業とセットで助成制度の復活をと思いますが、いかがでしょうか。農政部長にお聞きいたします。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)学校給食への支援のお尋ねでございます。  小中学校の学校給食費は、法律に基づき、設置者である市町村と保護者がそれぞれ負担することになっておりますが、経済的に困難を抱える家庭に関しましては、生活保護制度や就学援助制度により市町村が支援しているところでございます。  また、市町村の中には、地域の実情に合わせて地元食材の使用や伝統食、行事食の実施に係る費用を負担したり、少子化対策、子育て支援の施策として保護者負担への支援を実施しているところもあるというふうに承知しております。  県教育委員会としては、栄養教諭等の資質向上に努め、給食の質の向上、衛生管理の徹底、食に関する指導の充実等を図っているところでございます。引き続き県、市町村がそれぞれの役割を担い、学校給食の持つ多面的意義が一層高まっていくよう努めてまいりたいというふうに考えております。       〔農政部長北原富裕君登壇〕 ◎農政部長(北原富裕 君)学校給食への御質問についてお答えをいたします。  学校給食での長野県産農産物の利用率は平成27年度で44.3%と、全国平均の26.9%を大きく上回っておりますが、さらに利用率を上げるためには、農産物のまとまったロットや調理が簡便な1次加工品を安定的に供給できる体制の構築が課題と考えております。  そのため、来年度、信州産食材地消地産推進事業において、調理の省力化に向けた1次加工事業者と給食センターのマッチング、また、県産食材の利用促進に向けた栄養教諭や給食センター調理員を対象とした調理講習会の開催などに取り組みまして、学校給食での県産食材の活用を進めてまいりたいと考えているところでございます。  一方、議員お尋ねの助成制度は、平成15年度から17年度までの3年間、県産食材を利用するきっかけづくりのモデル事業として地域食材の日を設け、1食60円を年3回、平成17年度は年1回、小中学校等へ広く助成した事業でございます。  県産農産物の利用率が平成15年度の25%から平成17年度は32.7%に上がるとともに、先ほど議員から御紹介がありましたけれども、各地域で独自の取り組みが進んだということで、事業の役割は果たされたため終了となったものでございます。  学校給食での県産農産物の利活用促進は、食の地消地産を推進する上で重要な取り組みと認識しておりまして、教育委員会と連携を図り、市町村教育委員会や栄養教諭等へ働きかけながら、今後一層の利用率向上に取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔16番藤岡義英君登壇〕 ◆16番(藤岡義英 君)支援を実施している自治体では、若い世代の定住や転入に効果を期待しているそうです。憲法には、義務教育の無償を明記しています。本来は国の責任で給食無償化を実現すべきと考えます。国にも必要な支援を求めながら、県としても教育委員会、県民文化部、農政部など部局で連携していただき、支援策を研究、検討をお願いしたいと思います。全国水準並みに抑えるといったことなども検討いただけたらと思います。  次の質問に移ります。大北森林組合の補助金不正受給問題について質問いたします。  長野地裁で行われている公判は結審いたしました。判決は3月の下旬に出されます。この一連の問題で、県職員の関与をどこまで司法が判断するのかが注目されます。  公判でも焦点となった二つの疑問があります。一つは、現地地方事務所職員は、本当に将来も森林作業道整備が行われない全くの架空請求と認めていなかったのか。もう一つは、本庁林務部職員が現地で年度末の予算消化のための不適正な申請を行っている認識はなかったのか。つまり、期ずれ、闇繰り越しを認識していなかったのかであります。  検証委員会の報告書は、一連の問題の全体像を明らかにした点では評価できるものでありますが、二つの疑問を解消する上では果たして客観的なものなのか、疑問を感じております。  検証委員会は、職員への聞き取り調査の実施状況をまとめておられます。関係する県職員延べ70人の聞き取り調査です。この調査を実際に行った方はどなたでしょうか。調査対象となった延べ70人のうち、直接3人の検証委員が調査したのは何人となるでしょうか。林務部長にお聞きいたします。  公判では、県職員は対象となった作業道について、知らなかった、通ったこともない、雪が積もっていたので確認できない、していない等と証言しています。その中には、既設の道路や町道もあったわけで、本当に知らなかったのか疑問であります。裁判でも問題となった一つ一つの路線について、職員が本当に行ったことがないのか、知らなかったのか、検証委員会のヒアリング調査や再確認作業で確認できたのか、林務部長にお聞きいたします。  平成20年2月に追加で1,500万円、平成23年3月に追加で1,800万円、平成25年1月に追加で1,000万円と、1月から3月末までの期間に本庁から追加の予算消化が求められていたと公判の証言だけでも3件明らかにされました。  公判では、主に作業道が焦点となりましたが、森林整備にも充てられたと聞いております。しかし、1月から3月末に急に予算消化する事業執行が可能なのでしょうか。その疑問点は再確認作業で解消されたのでしょうか。林務部長にお聞きいたします。       〔総務部長小林透君登壇〕 ◎総務部長(小林透 君)大北森林組合補助金不正受給問題についての御質問でございますが、聞き取り調査の状況について、県職員の聞き取り調査を行ったのは、総務部、林務部、会計局による合同調査班を組織していた人事課、森林政策課、森林づくり推進課の職員でございます。  検証委員会の報告書にまとめてございますとおり、合同調査班で調査した職員は延べ70人日で、その実人員は26人でございました。さらに、この26人の実人員のうち、県の合同調査班の聞き取り結果を委員会に提出した上で、委員の皆様が必要があると判断された11人、延べで申し上げますと14人日ということになります。この26人中11人につきまして、委員の皆様が2日にわたり県庁で聞き取り調査を行ったという状況でございます。  以上であります。       〔林務部長池田秀幸君登壇〕 ◎林務部長(池田秀幸 君)大北森林組合の補助金不適正受給問題につきまして2点御質問をいただきました。  県職員への確認、検証についての御質問でございます。  これまで729件の不適正受給箇所につきまして、当時の北安曇地方事務所林務課職員を対象にいたしまして、実際に現地調査を行っているか、また未完了を認識していたかなど、森林整備と森林作業道の1件1件につきまして聞き取り調査を行って、徹底した確認、検証を行ってきたところでございます。  こうした検証に加えまして、公判での県職員の証言につきましても県において確認を行いまして、これまでの県による検証結果と違いは生じていないということを確認をしております。  次に、1月から3月末に追加で事業を行うことが可能かどうかという御質問でございますが、補助金を交付しておりました造林事業でございますが、実績補助による事業で、事業が完了した後で初めて補助金の交付申請を行うという事業でございます。  当時の造林事業におきましては、完了した補助事業をできる限り早期に交付するために、年度末を控えた1月以降、本庁と地方事務所の間で執行見込み額を調整いたしまして予算執行の管理を行っており、当時の北安曇地方事務所の予算執行の依頼につきましても、こうした調整の中で行われていたものでございます。  造林事業は年間を通じて実施されているため、現場完了後で申請書類を準備しているものや事業実行中で完了が間近なものなど、当年度に前倒しをして申請することが可能なものがございます。  なお、このような依頼が意図しない補助金不適正受給の発端となってしまったことを踏まえまして、造林事業の運用を見直して、補助金交付申請の期限を早めて、当年度の執行額を早期に確定し、完了できない事業の適切な繰り越し処理を行っているところでございます。  以上でございます。       〔16番藤岡義英君登壇〕 ◆16番(藤岡義英 君)林務部長の答弁で、本庁と現地職員の予算調整をされるということは、それは起こり得ることで理解できますが、追加で予算消化を求められたという点では、その答弁では理由にならないのかなと感じました。  再質問を林務部長に2点行います。  現地地方事務所職員は補助申請された作業道の場所を知らないと言っていますが、本当かということが1点です。公判でも取り上げられた池田町の大峰キャンプ場線は、七色大カエデや北アルプス展望台など観光地にアクセスする道とつながっている既設道路です。当時担当だった職員は、キャンプ場線の存在を知らない、通ったことはないと証言していますが、そのキャンプ場で昼食を食べたとも証言しています。北の道からキャンプ場に入ったから通っていないとの主張ですが、北の道から入ったとしても、この大峰キャンプ場線を通らないとキャンプ場自体に行けないことがわかっています。  私も先日現地に行ってまいりました。現地まで雪があるから行けないということはなく、キャンプ場線の始点までたどり着くことができました。ことしはいつもより雪が多い年だと地元を案内してくださった方がおっしゃっておられましたが、四輪駆動でない自動車でも問題ありませんでした。しかし、担当職員は知らなかった、行ったことがない、雪が積もっていたので確認できない、していない等と証言していますが、これはうそということになるのではないでしょうか。  ほかにも、中の貝狐穴線は、平成22年、平成23年、平成24年と毎年申請が上がっていますが、何度も重複して申請されたこの路線も、全く知らないで済まされるのでしょうか。これが1点。  もう一つ、本庁職員も期ずれ、闇繰り越しを認識、もしくは指示していたのではないかということであります。  大北地域は、池田町を除き、1月から3月まで森林整備を行うことはほぼ不可能だと森林組合関係者から確認をとっています。そうだとすれば、4月、5月に作業を完了せざるを得ないのは、本庁職員もわかることではないでしょうか。  実際に公判で現地職員が、期ずれでも構わないだろう、4,000万円なんて余りにも大きいから何とかしろと本庁で言われたと証言しております。本庁職員も期ずれ、闇繰り越しを認識、いや、むしろ指示していたともとれる発言です。検証委員会の結論と大きく矛盾すると思います。この食い違いのどちらに真実があるんでしょうか。  以上2点をもう一度林務部長にお聞きいたします。       〔林務部長池田秀幸君登壇〕 ◎林務部長(池田秀幸 君)再質問を2点いただきました。  まず最初でございますが、職員が知らないとは考えにくい作業道があるのではないかという御質問でございます。  先ほどもお答えしましたとおり、県におきましては、これまで不適正な補助金受給案件につきまして、現地調査の実施状況も含めて、1件1件聞き取り調査も行いまして検証してまいりました。先ほど議員御指摘の路線についても聞き取り調査、現地調査も行いまして検証しているところでございます。裁判の証言を踏まえて徹底した確認を行っておりますので、それについては全くの架空申請はなかったというふうに判断したところでございます。  次でございますが、事業完了が4、5月になることは本庁職員もわかることではないかという御質問でございます。  先ほどもお答えしましたとおり、造林事業は年間を通じて実施されているため、現場完了後で申請書類を準備しているものや、事業実行中で完了が間近なものにつきましては、当年度に前倒しして申請することが可能なものがございます。  このため、本庁職員はこうした申請を想定して予算執行を依頼しておりまして、未完了となることを想定していたものではないというふうに考えております。このことにつきましては、裁判での証言等を踏まえて行った関係職員の聞き取りにおきましても再確認をしているところでございます。  以上でございます。       〔16番藤岡義英君登壇〕 ◆16番(藤岡義英 君)3名の検証委員が聞き取り調査に直接タッチしたのは70人中延べ14人日ということでありました。検証委員が全てのヒアリングに立ち会って調査分析していただきたかったなと思います。残りは県職員による県職員のヒアリング調査だったわけであります。ヒアリングだけでなく、この検証委員会は、県自身による調査を検証する委員会、つまり主体は県にあると言えます。再確認作業も県職員による県職員へのものであり、これは県による内部調査とも言えます。この再確認作業はどんな中身だったのか、幾ら詳細な資料を求めても、A4ペーパー1枚だけしかいただけません。あとは適切に調べましたとの口頭での説明しかありません。音源データもないとのこと。これでは第三者が適切だったか判断、分析することができません。これで県民は納得するでしょうか。  また、先ほど予算調整ということで想定内というお話がありましたが、追加で1,000万、1,800万、そういったものが押しつけられたという公判を聞く限りでは、そういったものではないというふうに私は感じているので、私の疑問は払拭されません。  最後に、知事に質問いたします。  12月にもお聞きいたしましたが、現時点でも検証委員会の検証で十分とお考えですか。県監査委員も、多くの県民がその動向を注目しているとして、関係する県職員に対して損害賠償請求を検討するよう知事に勧告しております。もし検討されるのであれば、県職員がどこまで大北森林組合の不適正な申請にかかわっていたのか、正確な分析が不可欠となります。再調査が必要だと考えますがいかがですか。お聞きいたします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私には再調査の必要性ということで御質問いただきました。  藤岡議員も先ほどの御質問の中で、検証委員会に一定の評価をいただけているものというふうに受けとめております。  昨年の11月の段階でも、県民の皆様方にこの事案の全体像をお示しするということで、この検証委員会にかかわっていただいた方から、改めてその検証委員会の報告書後の動向も含めて御説明をさせていただき、そして、私からは、県民の関心事ということで、常にホームページの上のほうにちゃんと載るようにという指示をして、その資料はずっと載っています。私も必要があると、家で思い出して確認するときはホームページから見ていますので、県民の皆様方にもそうした状況はしっかりわかるような形になっています。  林務部長からも御答弁申し上げましたように、これまで、県の中での調査、それから検証委員会の委員の皆様方にも直接職員からの聴取等を行っていただく中で、これはかなり徹底した調査を行ってきているというふうに考えています。  そういう意味で、その検証委員会の報告等を踏まえて、これまでも、例えば刑事告発もさせていただきました。それから補助金の返還請求等も行わせていただきました。さらには、職員の懲戒処分等も行ってきております。そういう全体像、これは一定程度議会の皆様方にも御説明して、御理解いただきながら進めてきているわけであります。そういう意味で、もう一回振り出しに戻って検証するというようなことはあり得ないと、必要性はないというふうに思っています。  ただ、提案説明で申し上げましたように、損害賠償についてどう考えるかという部分については法律の専門家の皆様方の観点で方向づけをしていただきたいということで、委員会を設置して十分な検討をいただきたいというふうに思っております。  この問題は、非常に多岐にわたる論点がありますし、非常に複雑な事案でありますので、一つ一つ順を追って対応し、解決しながら取り組んできております。これからもそうした姿勢でしっかりと県民の皆様方の御理解を得られるように進めてまいりたいと考えております。  以上です。       〔16番藤岡義英君登壇〕 ◆16番(藤岡義英 君)今後設置が検討されている新たな委員会でありますが、そこではぜひ振り出しではなく、検証委員会が全体像を解明されましたから、そこを土台にしていただいて、その上で再調査というものをやっていただけたらなと、このように思います。  年が明けてから、地元でこの問題での厳しい御意見をたくさん受けてまいりました。時間がかかると思いますが、疑問をクリアし、真実を明らかにし、その結果に基づいて必要な処分、県民への説明、そして再発防止策と進めていかれれば、必ず県民からの納得は得られると思います。3月下旬には判決が出ます。押収された資料も県に戻ってくるでしょう。そうした資料の再調査を客観的な第三者が行い、疑問の解消、真相究明が行われるよう求めまして、以上で質問を終わります。 ○副議長(下沢順一郎 君)この際、15分間休憩いたします。         午後2時18分休憩          ──────────────────         午後2時34分開議 ○議長(向山公人 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  清水純子議員。       〔20番清水純子君登壇〕 ◆20番(清水純子 君)それでは、インフラメンテナンス産業について質問をさせていただきます。  道路や橋梁など社会資本の多くは高度成長期以降に整備をされ、現在、老朽化が急速に進んでおります。老朽化に関連した事故も相次ぐ中、命と暮らしを守るインフラメンテナンス産業の育成は今後重要な課題です。1964年の東京オリンピックを契機に整備をされたインフラは、今後一斉に老朽化を迎えます。例えば、長野県が管理をする橋梁でも、建設50年以上を経過した割合が、平成24年に28%から、あと5年後の34年には54%に達します。  インフラの老朽化が大きな社会問題になったのは、9人がとうとい命を失った2012年の中央自動車道笹子トンネル天井板崩落事故でありました。国土交通省はこれを重く受けとめ、翌年をメンテナンス元年と位置づけ、重要施設を重点的に緊急点検をし、インフラ長寿命化計画とともに、損傷が軽微なうちに計画的に修繕を行う予防保全を重視した対策を着実に進めてまいりました。  一方で、国土交通省による調査によると、全国の橋の7割を管理する市町村のうち、町の3割、村の6割で保全業務にかかわる土木技術者がいない状況と聞きます。点検方法も、離れたところからの目視のみによるものも多く、質的な面でも課題が多いのではないでしょうか。  このようなインフラメンテナンス産業の育成が喫緊の課題となる中で、国は、自治体職員への技能研修を実施しているほか、包括的な民間委託への導入に向けた検討も進めております。県では、長寿命化計画を策定し、計画的に予防保全の取り組みを進めていただいていることは承知をしておりますが、長野県民の命を守るためのインフラ保全業務にかかわる人材、質的確保の状況、技術向上のための取り組みなど、県は市町村における現状課題をどのように把握をされているのかお聞きいたします。  長野県は小規模の自治体が多く、先ほどの人材不足が懸念をされる現状から、市町村管理の特に土木施設等のインフラにかかわる点検、修繕の相談支援はどのようになっているのか。建設事務所での相談窓口の明確化や、さらには広域での取り組みの体制をつくることで小さな町村へのカバーができると思いますが、建設部長に2点お聞きいたします。  建設業は、高度成長期の大きな建物や橋といった目に見える箱物の建設から修繕予防を行うメンテナンス産業へと大きく方向を変えています。昨年11月、国では、担い手不足に悩む自治体への支援や業種を超えた企業間連携の推進を目的にインフラメンテナンス国民会議を発足させました。近年のたび重なる災害時での建設業、関係団体の役割の重要性から、新たな建設産業の総合的な体制の構築が、今、必要と考えます。  今後の新たな建設産業育成に向けた課題について3点お聞きをいたします。  1に、今後建設産業の方向性の変化に対応するため、インフラメンテナンスが産業として成立をするよう市場を充実することが必要です。自治体の人材不足を補う観点からも、また、地域でのメンテナンス産業の成長を促す面からも、公的機関が公共施設やインフラの所有権をそのまま維持し、そしてメンテナンスを民間に委ねる方式の導入を進めることも必要であると考えますが、建設部長に御所見を伺います。
     2に、生産性向上の観点から、技術開発支援も重要です。メンテナンス産業の主役は土木や建築のバックグラウンドを持つ企業でありますけれども、次の時代に対応する新たな産業へとつなげていく観点では、ICTや化学、バイオなど幅広い産業界の密接なコラボレーションが必要です。  開発ありきではなく、自治体のニーズや民間企業のノウハウ、さらには大学や研究機関等県が主導となって新たな価値を見出す異業種間交流の場をつくり、インフラメンテナンス産業の構築の推進につなげることが重要であると考えます。まさに今後求められる新たな産業の創出だと思いますが、知事に御所見を伺います。  建設業の再構築に向けて、新たなメンテナンス産業の構築とともに、何よりもまずはインフラメンテナンスの重要性、それを担う職種の社会的地位の向上等、県民の意識転換も必要と考えますが、建設部長に御所見を伺います。  女性の活躍推進について、昨年5月、女性の職業生活にかかわる活躍推進のための協議の場、長野県女性活躍推進会議が発足されました。その後、2回の会議が開催されておりますが、長野県で女性が活躍するための取り組みと課題について、この会議の中で、どのような意見があったのかお聞きいたします。また、そこから見えた課題解決のために、来年度の取り組みをどのように行っていくのかもお聞きいたします。  また、この会議の応援事業第1号として、行政、企業、団体等の管理職が従業員や部下の仕事と子育て、そして介護の両立を支援し、環境づくりに協力するイクボス・温かボスプロジェクトもスタートしました。さらなる多様な働き方の推進に向け期待をしておりますけれども、現在の進捗状況と、特に今後課題とされる民間企業への普及をどのように推進をしていくのか、県民文化部長にお聞きいたします。  人口減少社会において信州創生を図っていくには、これまで以上に女性の持つ生活現場力や行動力、そしてネットワーク力をどれだけ生かせるかが重要と考えます。そこで、女性の活躍を進めることを目的に、県内の女性の交流、ネットワークづくりを行う「長野のみらいを創るキラッと女性プラットフォーム」が中島副知事が中心となり立ち上げられております。  初めに、この「キラッと」との名前に込めた意味、思いをお聞かせください。また、このプラットフォームを立ち上げたことで、どのような長野県の女性のキラッとを引き出す取り組みを行っていきたいのかお聞きいたします。  今後の活動として、多くの女性の意見や現場課題、また気軽な情報の発信の場としてSNS等の活用によるつながる場をつくることを望みますが、いかがでしょうか。3点、中島副知事にお聞きをいたします。  最後に、女性の就業支援についてお聞きいたします。  県では、日本一創業しやすい県づくりを掲げ、多様な創業スタイルの支援に積極的に取り組んでいると認識をしております。結果、全国最下位だった我が県は、27年には39位と成果につながっております。さらに成果をつかむためには、創業予備群、いわゆる潜在的な創業希望者の掘り起こしと具体的な支援、そしてその効果の検証であると考えます。  そこで、創業予備群の多くを占めると思われる女性の創業支援の取り組みとその効果の検証はどのようにされているのかお聞きをいたします。  女性の直感力を支え、その行動力を後押ししながら、女性ならではの視点で新たな産業創出につなげる、女性の創業支援を産業労働部や県民文化部等、横の連携を密に図りながら、女性が日本一創業しやすい長野県となることを強く望みますが、産業労働部長に御見解をお聞きいたします。       〔建設部長奥村康博君登壇〕 ◎建設部長(奥村康博 君)インフラメンテナンス産業につきまして、いただきました御質問に順次お答え申し上げます。  まず、市町村のインフラ保全業務における現状と課題、相談支援体制についてのお尋ねでございます。  県内市町村が管理する土木施設のうち、例えば道路でございますが、その延長は4万2,000キロメートルに及び、橋梁は約1万7,000橋と膨大な数でございます。一方、42町村で土木技術職員が在籍しておらず、人材、技術力の不足という課題を抱えております。  こうした課題に対応するため、平成26年度に国、県、市町村等から構成する長野県道路メンテナンス会議を設置し、道路施設の点検業務や維持管理に関する情報共有、点検技術力の向上に向けた現場研修の実施によりまして市町村を支援しております。  県といたしましては、相談の窓口として各建設事務所に技術職員を配置し、各種点検業務に関する積算資料等の提供、県、市町村職員合同による施設点検の実施、市町村の人材不足を補うため複数の小規模町村などの橋梁点検業務をまとめて発注する一括発注に向けた調整、市町村に出向いての技術的な助言などの支援を行っているところでございます。  市町村のインフラ保全業務につきましては、今後とも、長野県道路メンテナンス会議等を通じ、県としましても積極的に市町村の支援に努め、適切な管理に向け取り組んでまいりたいと考えております。  次に、インフラのメンテナンスを民間に委ねてはどうかというお尋ねでございます。  インフラの管理を民間に委任する手法として指定管理者がございますが、その場合にありましても、占用許可や監督処分等の行政権の行使を伴うものではなく、かつ定型的な行為に限定されております。  県では、現在、小規模な修繕につきまして、道路施設は地元企業で構成するJV等への通年委託、河川や砂防施設は地元企業による当番体制で対応しております。また、一定規模以上の修繕につきましては、長寿命化修繕計画に基づき個別に工事を発注しております。  今後は、現行の取り組みを進め、例えば、小規模な橋梁の点検と修繕をセットでJV等へ委託するなど、メンテナンスの分野において民間企業の活躍の場を広げてまいりたいと考えております。  次に、メンテナンス等に対する県民の意識についてのお尋ねでございます。  インフラのメンテナンスは、例えば道路では5年に1度の点検が義務づけられておりまして、それに伴う修繕工事も絶えず必要となることから、まさに途切れることのない産業であるというふうに考えております。また、個々の施設につきまして、表面のひび割れ等の状態から健全度を判定する診断というプロセスが必要となるなど、建設すること以上に高度な技術力やノウハウが求められる分野でもございます。さらに、議員御指摘のとおり、ICT技術等の応用によります効率化や技術開発も期待される分野でございます。  インフラのメンテナンスに対しまして、その重要性や必要性への県民理解が深まることは、議員御指摘の担い手確保にもつながることが期待されますことから、メンテナンスに関する取り組みにつきましても積極的な情報発信を図ってまいります。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私には、インフラメンテナンス産業の創出について御質問いただきました。  議員から御指摘がありましたとおり、県、市町村は、今、インフラの長寿命化等に努めているわけでありまして、これは、私ども行政の財政の側面からするとこれからの非常に大きな課題だというふうに思っております。そういう意味で、予算面では財政負担の平準化ということも図りながら長寿命化を図っていくということが重要になっています。  ということは、反面、このインフラメンテナンス関連の企業の方々からすると、継続的、安定的に事業の受注が見込まれる分野でもあるわけであります。そういう意味で、このインフラのメンテナンスの問題については、企業の皆さんにも一緒に考えていただくということは私も重要だというふうに思います。  ただ、このインフラの老朽化という問題、これは、長野県だけではなく全国的な課題でもありますので、やはり全国的な視点での取り組みということも重要だと思っております。  昨年の段階で、国においてインフラメンテナンス国民会議というものが設置されております。まずは長野県としてこの国民会議に参加をし、そして県内の意欲ある企業あるいは団体の皆様方にも参加を促していきたいというふうに思っております。その場において、この技術開発やビジネスチャンスの創出、こうしたものについて他の都道府県の皆様方とも一緒になって考えてまいりたいというふうに思っております。  以上でございます。       〔県民文化部長青木弘君登壇〕 ◎県民文化部長(青木弘 君)女性活躍推進会議の取り組みについてのお尋ねに順次お答えいたします。  長野県女性活躍推進会議では、参加いたします経済団体、労働団体、教育機関等の各委員から、女性の活躍や管理職登用についての意識は高まってきているが、企業側、働く女性側の双方の意識に課題があること、女性活躍推進法の事業主行動計画の策定が努力義務である中小規模の事業所にも、法の趣旨を周知し、計画策定を促していくことが必要であること、女性のキャリアアップにつながるよう、職域拡大や人材育成をしていく必要があるなどの意見が出されているところでございます。  こうした課題を解決していくため、女性活躍推進会議では、来年度に向けまして、300人以下の企業、団体への女性活躍推進法の一般事業主行動計画策定の働きかけや、イクボス・温かボス宣言者拡大や女性の職域拡大の働きかけ等によります女性の継続就業の環境整備、女性リーダー育成に向けました学びの場づくりなど女性のエンパワーメントの支援といった3項目を共通の取り組みとして合意をしていただきまして、連携して推進することとしたところでございます。  また、イクボス・温かボス創出プロジェクトの推進についてでございますけれども、イクボス・温かボス宣言は、昨年4月からこれまでに1,700人を超える管理職等が県連合婦人会のホームページを通じて登録を行っております。内訳を見ますと、これまでのところ県や市町村、教育機関などにおいて積極的に宣言が行われている状況でございます。  こうした中、昨年12月には、阿部知事が、長野県女性活躍推進会議を構成いたします17の団体とともに「イクボス・温かボス推進宣言」を行いまして、さらなる取り組みの拡大について発信をさせていただきました。  今後、県では、来年度の新規事業といたしまして、企業を対象とした女性活躍推進セミナーを開催し、イクボス・温かボスの意義を周知し、宣言を働きかけてまいりたいと考えております。  また、推進会議におきましては、企業のイメージアップや人材確保、定着につなげるために、イクボス・温かボス宣言など育児、介護と仕事の両立に関する企業の取り組みを学生に広報してはどうかとの御意見も出されておりまして、その実現に向けて調整してまいりたいというふうに考えているところでございます。  以上でございます。       〔副知事中島恵理君登壇〕 ◎副知事(中島恵理 君)「長野のみらいを創るキラッと女性プラットフォーム」について御質問いただきました。  まず、プラットフォームの名前に「キラッと」を入れた意味でございますけれども、女性の社会参画が進んでいるとは言えない長野県において、女性らしさを生かして、個性と能力を発揮してキラキラと活躍をしている女性たちが世代や分野を超えてつながり、輝く長野県の未来をつくっていくという思いを込めております。  どのような女性の「キラッと」を引き出す取り組みを行うかについてでございますが、このプラットフォームを通じて、例えば松本で取り組みが始まった食器のリユースや上田のコラボ食堂などの共同加工所のような女性の感性や視点を生かした先進的な取り組みを掘り起こし、学びの場、交流の場をつくることで、まだ自分らしいライフスタイル、ビジネススタイルを実現できていない女性をエンパワーメントしていきたいというふうに考えています。  具体的には、この一環として、来年度新たな取り組みとして行う予定の女性のリーダー等を育成するウィメンズカレッジ事業をキラッと女性プラットフォームのメンバーと共同で行うことによりまして、これから活躍が期待されるチャレンジ中の女性等の学びの場や交流、ネットワークづくりの場をつくっていきたいというふうに考えております。  また、SNS等の活用によるつながる場づくりでございますけれども、このプラットフォームでは、誰でも参加できる情報発信、情報交換の場として、昨年11月にメーリングリストを開設し、参加メンバーの活動紹介やイベント等のお知らせによりネットワークを広げていく取り組みを行っております。メーリングリストの参加につきましては、県が開催する女性活躍推進等のイベントに参加された女性、男性、団体等へ御案内し、順次参加者がふえております。  御提案いただいたSNS等の活用につきましては、メーリングリストの活用状況も踏まえ、参加者の皆様の御意見も聞きながら検討していきたいというふうに考えております。  以上でございます。       〔産業政策監兼産業労働部長石原秀樹君登壇〕 ◎産業政策監兼産業労働部長(石原秀樹 君)初めに、女性の創業支援の取り組みと効果検証についての御質問です。  県では昨年度から、ワンストップ相談窓口ながの創業サポートオフィスに女性の相談員を配置いたしまして、女性が相談しやすい環境づくりを行ってまいりました。また、女性向けの創業セミナーの開催や創業イベントに県内の女性起業家を招聘するなど、女性の創業機運の醸成に努めてきたところでございます。また、コワーキングスペースと民間事業が行う女性向けの創業支援事業へも助成を行ってまいりました。  このような取り組みの検証結果につきましては、統計的に整理されたものはございませんけれども、女性からの相談件数、創業の相談件数は、平成26年度の79件から翌年27年度は150件、そして今年度は12月末現在で168件と着実に増加しております。また、相談から創業まで至った女性の数は、平成27年度の1名から今年度は既に5名となっており、徐々に成果が出てきているものと考えております。  次に、県民文化部等との連携についての御質問です。  女性の創業支援につきましては、これまでも県民文化部を初め各部局や民間団体等と連携して進めてまいりました。先ほど中島副知事から説明のありました「長野のみらいを創るキラッと女性プラットフォーム」など新たな事業におきましても、女性の創業を意識した取り組みを加えるなど、連携を強化してまいりたいと考えております。  いずれにしましても、女性ならではの柔軟な発想や視点が新しい産業の創出や地域の活性化につながることを期待しているところでございます。今後も重点的に女性の創業を支援し、日本一創業しやすい県づくりを推進してまいります。  以上でございます。       〔20番清水純子君登壇〕 ◆20番(清水純子 君)インフラメンテナンス産業に関しては、先進国を中心に、インフラ老朽化が進んでいる近年、成長産業として国としても注目を集めているところであります。  国内市場は2兆円とも言われており、そして世界における市場は200兆とも言われております。自動車産業の175兆のこの数値を考えますと、これを上回るこれからの成長産業として位置づけられていく、長野県としてもぜひ先手を打った取り組みを行っていただきたいと思います。  そして、女性の創業支援に関してですけれども、多くの施策を進めていただいていることは承知をしております。そして女性の相談員もつくっていただいて、活躍をしていただいているところでありますけれども、女性のプチ創業、要するに、現場からちょっとした、こんなことがあったらいいのになというようなプチ創業的なものにもしっかりと対応していくために、まず支援の効果であったり検証、そして分析、一つ一つにこの支援が合っているのか、何が足りないのか、そんなようなデータもしっかりと押えていただく中で、女性たちの一人一人に届く情報のあり方の検討もしっかりと来年度はお願いしたい。そして結果を出していただきたいというふうにお願いをし、一切の質問を終わります。ありがとうございました。 ○議長(向山公人 君)次に、山岸喜昭議員。       〔25番山岸喜昭君登壇〕 ◆25番(山岸喜昭 君)順次質問に入ります。観光誘客につながるバス事業の人材確保について伺います。  訪日外国人旅行者数は、昨年、年間でついに2,000万人を超えました。政府は、さらに東京オリンピック・パラリンピックが開催される20年までに4,000万人にするという大きな目標を設定しています。本県におきましても、昨今、県内至るところで日常的に訪日観光客を見かけ、宿泊者数も倍増している事実からも、その勢いが増大していることが実感できます。  ところが、増大する需要に対し、外国人旅行者を受け入れる県内バス事業者を取り巻く状況においては運転手確保が深刻化しております。いまだ記憶に新しい軽井沢町のスキーバス転落事故以後は、運行直前のバスの抜き打ち監査の強化など厳しい道交法改正や若者の免許離れ、なり手不足の影響など、また、高齢化が進む一方、求職者の減少、新規採用の減少や離職率が高いといった労働環境の悪化が不足の大きな問題と捉えているところであります。  営業用バス運転手に必要な大型二種免許の保有者がこの10年に112万人から101万人へと減少し、59歳以下では2013年には2001年より30%も減少、40歳未満のシェアは全体の10%にも満たないほど高齢化が進んでいます。  全国のバス運転者の数は、ここ10年、約12万人とほぼ横ばいで推移し、このうち女性運転者が占める割合は全体の1.4%にすぎないというものであります。平均年齢は上昇傾向にあり、48.5歳と10年前に比べて2.9歳高くなり、全産業の平均年齢と比べると6歳も高く、しかも60歳以上の割合は16.4%で6人に1人が当たります。  バス会社では、60歳定年で再雇用し、65歳で契約社員となり、70歳まで乗務すると聞いております。バスは需要はふえる一方で、なり手不足から高齢のバス運転手を雇う業者がふえています。こうした状況がバス運転手の育成をおくらせることになります。  地方のバス路線は軒並み苦しい経営状況にあり、都市部においても思い切った事業拡大を図る環境にはありません。観光立県を目指す長野県は、こうした面にも目を向けなければなりません。  バスを運転できる免許についても、講習のあり方を見直して、より実態に即した知識と技量の取得に力を入れることが必要であります。大型二種免許を取得できる指定教習所は北信に1カ所、南信に4カ所しかなく、それぞれ合宿実施校でもあります。取得希望者があっても、大型二種取得には高額な負担と時間が伴います。取得費用も見直し、取得希望者をふやす必要があります。教習所のあり方まで含めて議論するときが来ているのではないか。  県内の年間免許取得者数は、第二種大型は246人、第二種中型は32人、第二種普通は142人しかありません。  観光部は、今年度の外国人延べ宿泊者数146万人を目標に掲げているが、海外からの個人旅行者など貸し切りバスを利用する観光客の増加も見込まれる中、地域における移動手段の確保は大変切実な問題となってきます。事業者みずから運転免許証取得費用を助成するなど人材確保に努めているが、人材不足の解消にはつながっていません。  他県より優位に外国人旅行者を取り込み本県の貸し切りバス事業を振興するという産業振興の観点に立ち、中小事業者が多数を占める県内バス事業者に対し、運転者の確保、女性ドライバーの雇用拡大の推進並びに人材育成について、どのようなサポートができるのか。また、どのような支援が効果的なのか。昨年、G7軽井沢交通相会合の誘致に当たり先頭に立って取り組まれた、今や国交省と太いパイプを持つ産業労働部長にお聞きします。       〔産業政策監兼産業労働部長石原秀樹君登壇〕 ◎産業政策監兼産業労働部長(石原秀樹 君)バス事業の人材確保についての御質問でございます。  バス事業における運転者不足につきましては、観光客誘致を初め県民生活や経済活動に影響を及ぼしかねない大きな問題と認識しております。そこで県では、バス事業者の運転者確保育成のため、運輸事業振興助成補助金によりまして二種免許の取得に要する経費に係る助成を県バス協会を通じて実施しております。また、従業員に職業訓練を行った事業主にその経費の一部を助成する国のキャリア形成促進助成金を活用して運転者を育成する方法も利用され始めております。  次に、女性ドライバーの雇用促進につきましては、男性が多い職場で活躍する女性や働いている現場を紹介するイベントの中で、今年度は2カ所で女性がバス運転手として活躍している職場見学会を実施したところでございます。また、昨年11月、北陸信越運輸局におきまして、バス事業者、業界団体、行政等で構成される北陸信越バス運転者確保対策会議が設立され、運転者の確保に向けた検討が始まったと聞いております。  県といたしましては、このような国の動向にも注視しながら、バス事業者の人材確保と安全運転が図れるよう、引き続き関係機関と連携し、効果的な支援を行ってまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔25番山岸喜昭君登壇〕 ◆25番(山岸喜昭 君)運転者の不足が本格化し、バスによる旅客輸送に支障が生じる事態となると、今後さらに増加が期待される外国人旅行者を取り込む機会が失われ、長野県経済にとって大きな損失になると危機を感じているところでございます。  次に、銀座NAGANOについてお聞きします。  信州首都圏総合活動拠点「銀座NAGANO~しあわせ信州シェアスペース~」は、平成26年10月にオープンして以来、首都圏を中心に多くの皆様に御利用いただいており、来場者数も順調に推移しているとお聞きしています。  また、1階ショップスペースには長野県らしい特産品が数多く並び、イベントカレンダーや広報誌を拝見すると、2階のイベントスペースではほぼ毎日何らかのイベントや催事が開催され、商品の調達や企画に日々努力されていることに敬意を表するところでございます。  開設から2年余りが経過し、新たな課題等もあることと思います。成果目標の数字のほかに重要と思われるのが、ショップスペースについてはより多くの地域の商品を取り扱うことと考えています。売上高も評価の一つにはなると思われるが、目先の売り上げを気にし過ぎることで、東京のコンビニやスーパーになってしまい、長野県を訪れることなく足りてしまうのではないか。生産者や事業者の皆さんに接客内容や銀座というPR効果をきちんと説明した上で理解をいただき、銀座での適正価格を見出していくべきと思います。  また、拠点のコンセプトには、「「伝える」だけでなく「つながる」 信州と首都圏、信州と世界がつながっていくきっかけを生み出す場に」や、「「観光地」ではなく「関係地」 「コト」「ヒト」「モノ」を通じて何度でも訪れたくなる目的地に」という項目があります。コンセプトは理解できるものであり、拠点は熱心な信州ファンづくりにとって重要な役割を担っており、その役目を果たすためには、フェース・ツー・フェースの観光案内は重要な取り組みであると考えています。  そこで、ショップ部門の商品の品ぞろえや価格設定について、現状どのような考え方で運営が行われているのか。また、メンバーズ会員を募っているが、年間70万人以上が訪れる施設にしては、会員がことし1月末で4,013人にすぎず少ないと思うが、今後どのように取り組んでいかれるのか。また、イベントスペースは予約がとりがたい状況との話も聞くが、実施主体別の利用状況はどのようになっているのか。  また、4月からは地域振興局が設置されるため、市町村イベントの実施に当たり地域振興局の支援、協力等も期待をしているところであります。市町村実施イベントで特色のあるものとして、どんなものがあるのか。  また、新海誠監督や御嶽海関を初めとする世界や国内で活躍している県出身者の協力により話題性のあるイベントを企画してはどうか。2階の観光案内スペースは交通会館にあったときと比べ狭いと思うが、利用状況はどうなっているのか。また、十分な成果が出ていると言えるのか。  銀座NAGANOの設置目的は、信州ブランド戦略の一環として、信州のヒト、コト、モノをトータルに発信し、長野県との強固なつながりをつくるとされているが、拠点のコンセプトをどのような事業や取り組みで具現化しているのか。また、開設時の目的に対して現状をどのように評価しているのか。観光部長にお聞きします。  次に、首都圏における移住対策についてお聞きします。  長野県は、「田舎暮らしの本」で、移住したい都道府県ランキング2016年、首都圏の読者が移住したい県第1位、また、ふるさと回帰支援センターの移住希望地ランキングでも第2位と、移住先として大変人気があります。  近年、首都圏に住む方々は、子育てや生活の価値観も変化していることから、その変化に対応すべく一層力を入れていくことが大切であると考えます。移住を希望する方々には、銀座NAGANOを気軽に利用していただくことも重要と考えるが、さらに長野県の魅力を伝えるために相談場所をふやしていくべきではないかと思うが、いかがか。  また、移住促進に当たっては、仕事の確保が重要になります。仕事については、移住者がふえることで県内産業の労働力確保にもつながることから、力を入れる部分だと考えます。移住、Iターン就職者数の状況はいかがか。また、今後移住希望者に対する働くことの支援をどのように進めるのか。企画振興部長にお聞きします。       〔観光部長吉澤猛君登壇〕 ◎観光部長(吉澤猛 君)銀座NAGANOにつきまして四つ御質問いただいております。  まず、銀座NAGANOの品ぞろえ、価格設定、メンバーズカードについてでございます。
     銀座NAGANOでは、店舗の規模等を考慮して、現在約800アイテムの商品を販売しております。商品の品ぞろえにつきましては、専門家の意見等を参考に、クルミ菓子など通年販売商品を約6割とし、市田柿といった季節商品やすんき漬けなどの健康長寿関連商品を約3割、牛乳パンなどの特定テーマを設定した商品を約1割としております。また、通年販売商品の半分は四半期ごとの販売結果を踏まえて随時入れかえを行っております。  販売価格につきましては、仕入れコストに日ごろお客様と接している店舗スタッフの意見等を加味した上で、出品希望者と相談して価格設定を行っております。今後も、首都圏における情報発信拠点としての銀座NAGANOの設置目的を十分踏まえる形で、適正な価格の設定に努めてまいります。  次に、メンバーズカード会員の拡大についてですが、リピーター化によるコアな信州ファンづくりの観点やカード会員1人当たりの購入単価が非会員より高いことから、店舗の売り上げを増加させる観点からも会員の拡大は重要な課題であると認識しております。  今後は、店舗の運営を担っている県観光機構とも相談しながら、商品購入の際のポイント付与について、例えば売り上げが落ち込む月曜日や雨の日はポイントを2倍にするなど加入メリットを高めることや、スマホ向けアプリの活用などによる若い世代が加入しやすい環境づくりなどの方策を検討し、会員数の拡大に努めてまいります。  2問目がイベントスペースの利用状況と特色、話題性のあるイベントについてでございます。  まず、イベントスペースの利用状況ですが、今年度分の利用団体数は1月末までで延べ377団体であり、その内訳は、県256、市町村79、広域連合11、県内ゆかりの企業31となっております。  市町村による特色あるイベントとしましては、例えば大北地域では、北アルプス山麓ウイークとして、関係市町村が連携して地域の特産品の紹介やマスメディア向けのプレゼンテーションを実施したほか、南信州広域連合が地元高校生と一緒になってジビエ料理の振る舞いを実施するなど、広域連携による訴求力の高いイベントが行われております。また、議員の地元、小諸市でも、地元ワインや特産品のバレイショ料理を提供しながら、くつろいだ雰囲気のカフェ形式での移住・定住相談を実施していただいております。  次に、県出身の著名人を活用したイベントにつきましては、これまでにもオープニング時や1周年、2周年の記念イベントにおいて、長野県観光大使の峰竜太さんを初め、タレントの乙葉さん、オリンピック選手の箱山愛香さんなど多くの芸能人、スポーツ選手に御協力をいただいております。今後も話題性のある県出身者のお力添えをいただきながら、訴求力の高いイベントを実施できるよう鋭意努めてまいります。  3問目が、観光案内スペースの利用状況、成果についてでございます。  観光案内の利用状況ですが、平成27年度における観光案内件数は2万9,690件、観光パンフレットの送付件数は6,125件となっています。観光案内件数は、交通会館時代の平成25年度と比較すると約1.3倍となっており、観光パンフレットの送付件数も増加しています。  観光案内スペースは、面積的には狭くなりましたが、商品購入やイベント参加目的で来訪されたお客様が立ち寄るケースがあり、案内件数の増加につながっております。また、イベントスペースで催しが行われていない時間帯には、そのスペースをトラベルカフェという形で開放し、昨年設置した4K映像をお楽しみいただきながら、くつろいだ雰囲気の中での観光案内も行っており、お客様から好評を得ております。  成果に関しましては、観光案内コーナーの相談者に対してサンプル調査を実施したところ、約8割の方がその後実際に長野県を訪れているとの回答結果になっておりまして、一定の成果が上がっているものと考えております。  4問目がコンセプト具現化の取り組み、現状に対する評価についてでございます。  まず、銀座NAGANOのコンセプトの具現化に向けた取り組みですが、今年度からの新たな取り組みとして、雑誌社とのタイアップにより千曲市姨捨の棚田をリデザインするという事業を実施いたしました。これは、首都圏在住者を対象に、地域の課題について銀座NAGANOで事前の学習を行うとともに、現地での地域住民との交流体験等を踏まえて地域課題への提案を行う目的で実施したものです。  この事業の参加者からは、定期的に集まって地域との関係を深めていきたいとの声が多く聞かれるなど、銀座NAGANOが目指している関係地づくりやコアな信州ファンの増加に寄与できているものと考えており、今後もこうした取り組みを継続してまいります。  次に、現状に対する評価ですが、来場者は平成26年10月のオープンから本年1月末までの通算で約180万人、1日平均2,200人の方に御来場いただいており、当初想定した1日当たり1,000人を大幅に上回る水準で推移しております。  また、県内経済への波及効果に関して民間調査機関に委託した試算においても、平成27年度分で約25億円との結果が出ており、設置目的に沿った形で一定の効果が出ているものと考えております。  今後も、銀座NAGANOを、単なる物産館としてではなく、信州の美しさと健康な暮らしを首都圏在住の多くの方とシェアするための総合活動拠点にするという当初のコンセプトに沿う形で、機能強化に向けた取り組みを積極的に進めてまいります。  以上でございます。       〔企画振興部長小岩正貴君登壇〕 ◎企画振興部長(小岩正貴 君)私にいただきました御質問に順次お答え申し上げます。  まず、首都圏における移住相談場所の充実についてでございます。  現在、首都圏におきましては、専任の移住相談員を銀座NAGANOと有楽町にありますふるさと回帰支援センターの2カ所に配置し、移住相談に当たっております。  このうち、ふるさと回帰支援センターにおきましては、昨年9月より相談員を1名増員して2名体制としましたほか、県内の市町村や関係団体と連携した年11回の移住相談会や他県とも連携した移住相談会を開催しております。  また、より多くの相談の機会を提供するために、平成27年度からは銀座NAGANO4階のコワーキングスペースを活用して県内市町村による出張移住相談も実施をしております。来年度は、ふるさと回帰支援センターにおいても県内市町村による移住出張相談を検討するほか、こうした各種相談機会の周知の方法も工夫するなど、より多くの方に相談に来ていただけるようにしてまいります。  続いて、移住、Iターン就職の状況と移住希望者に対する働くことの支援についてでございます。  県ではこれまで、県内企業への就職を希望する方に登録していただき求人情報等を提供するIターン登録制度や転職あっせん専門業者によるセミナー、個別相談、また、銀座NAGANOでのハローワークによる職業紹介などを行い、Iターン就職の希望者に対する支援を行っております。この三つの事業を利用して、平成27年度は88名、本年度は1月末時点で80名の方が県内にIターン就職をしていただいております。  これら従来の支援体制に加え、昨年10月には、若者の就業支援機関であるジョブカフェ信州のサテライトを銀座NAGANOに設置し、首都圏からのU・Iターン希望者獲得の強化を図ってきたところでございます。来年度は、就農や就林、起業、創業等、長野でできる仕事の情報をワンストップで提供する信州で働くフェアを首都圏で開催するとともに、Iターン登録のシステムをスマートフォン対応に改修するなど、移住希望者への信州で働くことの情報提供の充実を図ってまいります。  以上でございます。       〔25番山岸喜昭君登壇〕 ◆25番(山岸喜昭 君)続きまして、長野県原産地呼称管理制度についてお聞きします。  長野県原産地呼称管理制度は、より高品質の農産物の原料や栽培方法、飼育方法、味覚による区別化を図り、長野県で生産、製造された味と品質が特にすぐれたものを自信と責任を持って消費者にアピール、信頼を得ながら生産者の生産意欲をさらに醸成し、長野県産の農産物のブランド化と農業振興を図っていく認定制度であります。これまで、4,722品が認定されています。  日本酒は、県産米を100%使用し、精米から発酵、瓶詰まで一切が県内で行われた純米酒が対象。ワインは、長野県産ブドウを100%使用し、醸造も全て県内で行われたものが対象。焼酎は、芋、麦、米、ソバを初めカボチャ、ヤーコンなど県内の原料を100%使用し、県内の水で醸したもの。米は、農薬、化学肥料の使用量を半分以下に抑え、厳しい食味審査に合格した米。シードルは、県内産リンゴを100%使用し、醸造も全て県内で行われたものが認定の対象であります。  このように、農産物の味と品質を保証し、ブランド向上に役立てていることは承知していますし、よい制度だと思います。しかし、制度創設から10年以上が経過しているが、認知度、成果が出ているとは感じられず、制度のあり方を見直す時期ではないかと思います。  来年度実施予定の「百花繚乱!信州日本酒PRプロジェクト事業」、「ナガノワイングローバルチャレンジ事業」、「信州日本酒全国ナンバーワン奪還プロジェクト事業」など、連携して農産物の価値を磨き上げ、広く発信し、特産品販売や観光振興につなげていくことも重要であります。  生産者、事業者が制度への参加の意欲を高めるために、原産地呼称管理制度の成果と課題、今後の取り組みについて、産業労働部長にお聞きします。       〔産業政策監兼産業労働部長石原秀樹君登壇〕 ◎産業政策監兼産業労働部長(石原秀樹 君)お答えいたします。原産地呼称管理制度に関する御質問です。  この制度は、県内で生産された味と品質が特にすぐれたものを認定し、その品質向上と消費拡大を図ることを目的に、平成15年に全国に先駆けて導入したものでございます。  御指摘のように、これまでにワイン、日本酒、焼酎、シードル、米を対象に、認定累計数は約4,700品にも及んでおります。また、認定率も、制度等導入当初の50%から最近は90%に達するなど、県産品の品質向上に大変寄与しているものと考えております。  しかし、県内の酒蔵やワイナリーにアンケート調査を実施しましたところ、小さな事業者を中心に、認定申請をしたことがない方が4割もいらっしゃいました。その理由として、手続の煩わしさや審査回数が少ないことなどから申請を諦める傾向があるようです。そこで、事業者の利用を一層促進するため、来年度、審査書類の簡素化や認定基準、審査回数等につきましても検討を始めることにしております。  また同時に、消費者と直接接する小売店、飲食店、宿泊施設などへのPRを強化し、この制度の認知度を高め、事業者と消費者双方にとって利用しやすい制度へと見直しを図りたいと考えております。  全国に誇る長野県の原産地呼称管理制度のブランド価値を今後も高めてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔25番山岸喜昭君登壇〕 ◆25番(山岸喜昭 君)答弁いただきました。  先ほど質問の中にも一部触れましたが、4月から地域振興局が設置され、地域振興局長は地域の横断的な課題に積極的に取り組むこととしています。観光業はまさに県の全ての機関が連携して取り組むべき横断的課題であります。本県は地域ごとに魅力ある観光資源がたくさんあります。地域振興局長はそうした観光資源の磨き上げや新たな資源発掘を行うとともに、地域のリーダーとして、市町村を初めとする関係の皆様と一緒になって、その地域でしか味わえない観光政策を進めていってほしいと強く要望するところでございます。これからの観光施策に期待をして、質問を終わります。 ○議長(向山公人 君)お諮りいたします。本日はこの程度で延会にいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。       〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(向山公人 君)御異議なしと認めます。よって、本日はこれをもって延会することに決定いたしました。  次会は、来る2月27日午前10時に再開して、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑を日程といたします。書面通知は省略いたします。  本日は、これをもって延会いたします。         午後3時31分延会...